186話 ページ41
「帝国学園…」
「あまり良い思い出がないっス…」
壁山はそこまで言って、鬼道が帝国学園にいたことを思い出すと慌てて謝罪した。「気にするな」そう言って中に進んでいく。
鬼道に詳細を言われないまま帝国学園にやってきた雷門イレブン。要塞のようなそこは非常に殺風景で、ただそこに存在するだけで見る者を圧倒させる。遠くからでも見えるほど異常に大きく、妙なシルエットでかなり目立つ。恐らくどこにあっても浮く建物だ。
『軍事施設みたいだ』
「ここが学校だなんて信じられないね…」
『侵入者用の罠とか仕掛けられてそう』
中央のスタジアムに到着した。水城と吹雪が辺りを見渡しながら言うが、実際に鉄骨が落ちてきたのは黙っておこうと思った豪炎寺だった。
「円堂、土門!デスゾーンをやるぞ!」
「デスゾーン!?」
自分の原点である場所ということで、しばらくゴールポストに触れたり芝生を踏み締めたりと感傷に浸っていた鬼道だったが、しばらくすると土門と円堂に歩み寄り言った。円堂の裏ノートの技の方が良いのではないかと土門が言うも、鬼道はデスゾーンを強く推す。
「やろうぜ!」
「円堂…」
「鬼道には、何か考えがあるんだよ!」
鬼道に全幅の信頼を寄せる円堂は、理由は尋ねずに挑戦すると決める。そして円堂の言い分に納得した土門も頷いたのだった。
「どうして彼は練習しないんだい?」
「……実は」
準備運動の最中。アフロディはベンチに座ったままの吹雪を疑問に思い円堂たちに尋ねる。円堂は他のメンバーと目を合わせ、仲間なのだから話しておいた方が良いだろうと口を開いた。
「え…?心の中に二つの人格があるせいでサッカーができない…?」
「でもあいつは残るって決めた!サッカーが好きだから、どんなことがあってもサッカーを続けたいって思ってるんだ」
「だから俺たちは待つことにした!吹雪が自分の力で復活することを信じて」円堂の言葉を聞きながらアフロディは吹雪を見る。目が合うと気まずそうに目を逸らされた。
「そう…。来て良かった」
僕なら、再生への手助けができるかもしれない。アフロディは吹雪を見つめたまま、そう心の中で呟いた。
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作者名:不二市 | 作成日時:2018年4月23日 23時