【イナズマイレブン】紺碧のイノセンス IV (ページ15)

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160話ページ15

「やった──っ!!」

雷門イレブンが一斉に豪炎寺に駆け寄っていく。観客も爆発的に盛り上がり歓声を上げていた。円堂と豪炎寺が黙って握手を交わす。それをフィールド外から見ていた土方は涙ぐみ、鬼瓦は瞳子にサムズアップをしていた。

「馬鹿な…私が負けただと…。有り得ない…あってはならぬ…。我々はエイリア…イプシロン改なのだ…!!……!」

イプシロン改がデザームを気遣わしげに見つめる。何故自分たちは負けたのだろう。パワーアップしてイプシロン改と名乗り、自分たちから雷門に勝負を仕掛けたというのに。何故、何故だと繰り返しこぼすデザームの視界に右手が入ってくる。はっと顔を上げると円堂がいた。

「地球では、試合が終われば敵も味方もない。お前たちのしていることは許せないけど、俺は、サッカーの楽しさをお前たちにも分かってほしいんだ」

デザームは手を借りずに立ち上がり円堂を見下ろす。手が下ろされない。そこで、デザームは円堂が握手をするために手を差し出したのだと理解した。

「次は、必ず勝つ…!」

睨み付けてもそれに眩しい笑顔で返してきた円堂にデザームは毒気を抜かれ、どこか納得したような様子で自分も右手を上げる。円堂とデザームの手が重なる、その寸前に青白く眩い光が発生した。

「…私はマスターランクチーム、ダイヤモンドダストを率いるガゼル」

発光源を見るとそこにはいつの間にか腕を組んだ、風に靡かせたようなボリュームのある髪型の少年がいた。自らの正体を明かしたガゼルが腕まくりをして着ているユニフォームは、バーン率いるプロミネンスのユニフォームとどことなく似ている。

「今回の負けで、イプシロンは完全に用済みだ」

「っ!」

ガゼルが抑揚のない声で言い捨てた。そして右手を掲げた瞬間、デザームが円堂を見遣り離れる。円堂がそれに気付きデザームを見るも、デザームは何も言わず、静かに微笑んだ。ガゼルが右手を振り下ろすと足元にあったボールは勢いよくイプシロン改に向かっていき、またもや眩い光が辺りを包む。そして目を開いたとき、イプシロン改は跡形もなく消え去っていた。

「そんな…っ!」

「円堂守。君と戦える日を楽しみにしている」

分かり合うことができ握手を交わそうとした瞬間に妨害され、デザームは、イプシロン改は消えてしまった。その一連の流れにどこか既視感を覚えた円堂だったが、今は関係ないとガゼルの方を向くも、彼の姿もすでにそこにはなかった。