【イナズマイレブン】紺碧のイノセンス IV (ページ13)

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158話ページ13

「選手交代!10番、豪炎寺修也が入ります!!」

雷門イレブンが次々に立ち上がり顔を綻ばせた。エースストライカーという絶対無二の存在は、ただそこにいるだけでチームの士気が上がる。「監督!!」円堂が嬉々とした表情でベンチを見ると瞳子は頷きそう言った。その瞬間会場が歓声に包まれる。

「悪い水城、持っていてくれ」

『任せて』

「「「「……ん?」」」」

ようやく、豪炎寺がもう一度雷門のユニフォームの袖に腕を通した。そして脱いだオレンジのパーカーをベンチに座っていた水城に預ける。その様子を見ていた雷門イレブンだったが、一拍置いて全員が頭の上に疑問符を浮かべた。水城と豪炎寺は初対面のはずである。あまりにも自然すぎて気付かないところだった。

「一青、後で尋問するからな!」

『えええ…』

デザームを静かに睨み付け、しっかりと襟を立ててからフィールドに入っていった豪炎寺。その背に負うのは10番。エースストライカーとしての圧倒的な迫力と存在感。あまりにも眩しくて思わず目を細めたその直後、リカがそう言って水城の背中を叩いてからフィールドに出ていく。試合で疲れて尋問を忘れることを願う水城だった。

「試合再開!果たして、帰ってきた豪炎寺はどんな活躍を見せてくれるのか!?」

マキュアからのスローイン。デザームにボールが渡り、「見せてみろ、お前の実力を!」と豪炎寺の方に向かっていった。そこから難なくボールを奪った豪炎寺。あまりの速さにデザームが目を見開いた。

「ファイアトルネード!!」

颯爽とディフェンス陣を振り切りあっという間にゴール前に辿り着く。久しく見ていなかった彼の必殺技。離れてからも隠れて特訓していたのだろう、威力は随分と上がっていて、灼熱の炎を纏(まと)うボールはワームホールを打ち破り、ゼルがボールと共にゴールに押し込まれた。

「決まったあ─────っ!!豪炎寺のファイアトルネードがイプシロン改のゴールに突き刺さった─────っ!!これで雷門に1点!2-1、勝ち越しました!!!」

雷門の悲願の1点。春奈は思わず秋に抱きつき、水城も畳んだ豪炎寺のパーカーを片腕に抱えながら、吹雪の手をぎゅっと握った。