126話 ページ29
「俺たちのチーム?」
「俺、サッカー部に入ってよ」
円堂が聞き返すと、綱海はどこからか取り出した浅葱色の地に白いラインの入った服を着てそう言う。左胸には海とプリントされており、これが綱海のチームのユニフォームなのだろう。そしてサッカー部に入ったということに、雷門イレブン全員が声を上げて驚いた。
「この前、なんか面白かったしな。まあノリだよノリ!」
「ノリって…」
「で、皆にお前らのこと話したら、そりゃフットボールフロ…なんとかで優勝した雷門中に違いないってことになって、どうしても試合がしたいって聞かなくてよお!」
軽いところはやはり変わっていない。しかし受験生である3年で入部とは、随分と思い切ったことをするものだ。
「な、いいだろ円堂?俺の顔を立てると思ってさ。それに、俺ももっかいお前らとサッカーしたいんだ」
最初はサッカーを馬鹿にしていた綱海。それが部活に入るほどにハマっているのだ。それが嬉しくて円堂は表情を晴れさせると「もちろんさ!」と承諾した。見渡して仲間たちに確認するも、全員やる気満々である。
「その試合、許可できません」
しかし、その雰囲気を壊すように静観していた瞳子が口を挟む。雷門イレブンが驚き、振り返って瞳子を見た。
「何、この人?」
『私たちの監督だよ』
「監督?なーんかノリ悪そうな顔してんなあ」
『しーっ』
綱海が耳打ちで水城に尋ねる。答えるとけっこう大きな声で言うので、水城は慌てて口元に人差し指を立てた。
「皆、昨日のこと忘れたわけじゃないでしょうね」
「昨日のこと…」
昨日。炎のストライカーだと自分から売り込んできた南雲が、実はエイリア学園のチームの一つプロミネンスのキャプテンで、その実力を目の当たりにした。
「私たちの前には、次々と強い敵が現れている。そんななんの練習にもならない地元チームと試合して、遊んでいる暇なんてないはずよ」
『…ねえ綱海君』
「ん?」
『綱海君の所属するチームって、大会で功績とか残したりしてないの?あるのなら、もしかしたら瞳子監督も許可を出してくれると思うんだけど…』
「功績?…あ、あー!なんかあったあった!」
『じゃあちょっと言ってみてもらえるかな』
綱海のチームと試合をしたい。その思いを他と同じく持っていた水城は綱海に尋ねた。瞳子はただの地元チームでは練習にならないと言っているのだ。それでは何か功績を残しているほど強いチームであるのなら、いけるのではないか。
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作者名:不二市 | 作成日時:2018年4月9日 0時