118話 ページ21
「よろしくなあ、雷門イレブン!」
「なんで割烹着…」
「炎のストライカーって…この人…?」
円堂の隣に立ち挨拶する土方に、春奈と秋が困惑しながらそうこぼした。「いや、そうじゃないんだけど、土方は凄いディフェンス技を持っているんだ!」と円堂が言う。「雷門の円堂にそう言ってもらえるなんて嬉しいねえ!」そう言って土方は豪快に笑った。
「それで、皆に紹介しようと思ったんだ!俺たちのチームに入ってもらおうと思ってさ!」
「おっと、そいつはできない相談だ」
「えっ?」
仲間に加えるつもりで連れてきた円堂だったが当の本人に断られる。鬼道が理由を尋ねると、5人の弟妹の世話をしなければいけないからだと言う。
「だけどもしここが襲われたら、俺は戦うぜ」
「だから力を貸すって言ったのか…。お前の強さの秘密は、守りたいものがいっぱいあるからだったんだな!」
「皆だって、そうだろ」
「ああ!じゃあさ、練習一緒にやろうぜ!」
「おう、掃除が終わったらな!」
守りたいもの、それはかけがえのない人だったり、物だったり場所だったり、人によってさまざまだ。「分かった!」と円堂が返事をしたところで「おーい!」とここにはいなかった吹雪の声。
「炎のストライカー、見つけたぜ!」
そして続いて土門の声。「えっ!?」と嬉しそうに円堂が反応するが、彼らの連れてきた人物に思わず肩を落としてしまったのは仕方のないことだろう。
「豪炎寺さんじゃないっスよ…?」
「なんや、違うの?」
「ああ…」
他のメンバーも豪炎寺だと期待していたため正直どのような反応をしていいか分からず、沈黙した後それぞれ呟く。「お、誰だ?」と土方を見て尋ねた土門。
「あっこいつは土方、近くに住んでるんだ!だから色々聞こうと思ってさ」
「どうも!」
右手を上げて言った土方に、土門は軽く「どうも〜」と返す。吹雪は会釈し、そして「でも、もうその必要はなくなったよ。炎のストライカーはこの南雲だ」と続けて彼の背中を軽く叩いた。
「つーわけだ、俺は南雲晴矢。キャプテンの円堂だろ、よろしくな」
土門と吹雪の間にいた南雲晴矢と名乗るその少年は真っ赤な髪を一部逆立たせ、黄色く鋭い目をしていた。好戦的な態度に円堂はどこか気落ちした様子で、しかしそれを表に出さないよう努めながら「ああ、…よろしく!」とできるだけ明るい声で返したのだった。
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作者名：不二市
| 作成日時：2018年4月9日 0時
