108話 ページ11
「すげえ…凄いじゃないか綱海!!」
「へっ、だろ?」
「…自信ありそうじゃん」
得意げな顔をする綱海。そこに塔子がやってきて言うと「サッカーなんてサーフィンに比べりゃどうってことねえよ」と返される。それにカチンときた塔子は「サッカーだって甘くないよ!!」と声を荒らげるも「どうだか」と軽くあしらわれた。
「何そんなに見つめてんのー?……ふーん、やっぱりなあ!」
「へ?何?」
「ええってええって!」
腕を組み綱海の背中を睨み付ける塔子。そこにリカがやってくると、お得意の恋愛脳を発動させてニマニマと笑った。
「綱海!」
「ん?呼んだか?」
「シュートを打て!!」
鬼道が綱海にボールを送る。しかし綱海はシュートを打つことしか頭になかったのか、飛んできたボールをそのまま蹴ろうとするがもちろんタイミングが合わずに空振った。
「綱海!もう一度だ!!」
「おう、いくぜ!っ何!?」
鬼道からまたボールを送られるが、今度は綱海に届く前に一之瀬に奪われてしまう。「全然駄目じゃないの…」「蹴るだけがサッカーじゃないからね」夏未と吹雪がベンチでこぼした。
「ちくしょう、なかなか上手くいかねえもんだな…」
「タイミングを計れ、ボールは常に動いているんだ」
「タイミングか…」
『サーフィンのことはよく知らないけど、波に乗るときとかタイミングって重要じゃない?』
「…そうか、よおし!」
思いどおりにいかず地面を蹴って苛立ちを発散する綱海。そこに味方である鬼道と水城が寄りそれぞれが助言を送る。綱海の表情が晴れた。
「フレイムダンス!」
「くそっ今度はこっちか!」
鬼道が一之瀬にボールを奪われ攻め入られる。あっちに行くと思えばこっちに行く、縦横無尽に駆けなければいけないことに綱海が声を上げた。
「いくでえ!はっ!」
一之瀬からリカにボールが渡り立向居のいるゴールにシュートを打つ。しかしそれは立向居が触れる前に「今だ!」とタイミングを合わせて跳んだ綱海の足を掠り上に弾かれた。しかし着地のことは考えていなかったのかけっこうな勢いで尻から落ちる。
「嘘やん!」
「あいつ…!」
ボールはまだ死んでいない。塔子が走って今度こそとボールを蹴り込む。それを取ろうと横に跳ぶもボールはカーブし、立向居とは逆方向に曲がった。ついにゴールかと思われたが、復活した綱海が顔面で受けたことでゴールにはならなかった。
「いいぞ綱海!」
『キャプテンまずは綱海君の顔の心配しよう…』
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作者名：不二市
| 作成日時：2018年4月9日 0時
