【イナズマイレブン】紺碧のイノセンス (ページ33)

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33話ページ33

「君、真･帝国学園の生徒ね」

瞳子は疑問ではなく断定の形で、モヒカンで頭部に赤いペイントをした少年にそう言った。外野からしたら何がなんだかさっぱりである。

キャラバンに戻り購入したみかんを塔子ともそもそ食べていた水城。たまたま、本当にたまたまだった。何気なく外を見たときに、円堂が知らない少年にボールを蹴り付けられたのを目撃してしまったのだ。

ボールはきちんとキャッチしていたのだが、驚きのあまり『キャプテン!?』と声を上げてしまい、全員が水城を見た後その目線を辿りまた驚くのだ。驚きの伝染である。

「おっせー。愛媛まで時間がかかりすぎじゃね?」と悪態をつく彼は一体どこの誰なのか。瞳子以外は誰も現状を把握できず疑問符を頭上に浮かべるばかりだ。

「そっちこそ遅いんじゃない?人を偽のメールで呼び出しておいて、今頃現れるの?」

「監督、偽のメールって?」

そう尋ねる円堂に、響木からのメールが偽物だったと返す瞳子。もう本人にも確認済みだそうだ。しかし内容も偽物かと言えばそうではなく、影山が脱走し真･帝国学園を設立したのは本当のことであるらしい。

「すぐに分かるような嘘を、何故ついたの?」

「俺不動明王っていうんだけどさあ、俺の名前でメールしたら、ここまで来たのかよ?響木の名前を騙(かた)ったから、いろいろ調べて愛媛まで来る気になったんだろ。違うか?」

「そうね。で?貴方の狙いは何?」

「なあに、あんたらを真･帝国学園にご招待してやろうって話だ。あんた、鬼道有人だろ。うちにはさ、あんたにとってのスペシャルゲストがいるぜ」

「スペシャルゲスト…?」

「ああ、かつての帝国学園のお仲間だよ」

「何!?有り得ない…!影山の汚さを、身をもって知っている帝国学園イレブンが、あいつに従うはずがない…!!」

疑問を解消するように尋問する瞳子に皮肉を混ぜて答えていく不動。それが終われば不動は鬼道を見て面白そうに話す。その態度も言葉も鬼道の神経を逆撫でする要素でしかない。

雷門イレブンも否定していくが「はあ?だったら俺の目がおかしいのかなあ?」と不動は肩を竦めた。誰がいるのかを聞いても今言うと面白くない、着いてからのお楽しみだと笑う。

先程まで晴れていた空には、暗雲が垂れ込めていた。