32話 ページ32
「やっぱ、みかんの本場っスね!」
そう言いながら栗松とコンビニを出ていった壁山。その手にはみかんが大量に入った袋を持っていた。どのくらいの期間で消費するのか気になるところである。
太陽がちょうど真上にくる時間帯、イナズマキャラバンは愛媛に到着した。例によってコンビニに立ち寄り、瞳子曰く響木からの連絡待ちだと言うので各自の自由時間である。コンビニで商品を物色する者、家族に連絡を取る者もいた。
「なあ一青、この件どう思う?あたしはまだよく分かってないんだけど…」
『正直私もよく分かってないなあ』
塔子と水城は前者に当たる。商品を物色しながらも先程の話題を掘り返した。両者ともに今まで影山の件には一切関わっていないから、実際まだよく理解できていない。周りがあれだけ暗くなったのだ、易々と尋ねられるものではなかったが、分からない者同士の2人でなら話すことはできる。
「だよなあ」
『だけど、キャプテンや鬼道君があそこまで感情的になるんだから、きっとそれくらい酷いことをした人なんだろうね』
「特に鬼道なんて、いつもポーカーフェイスなのにな」
『うん。それを抜きにしても、よく知らない人と仲間の言うことなら、仲間の方を信じるでしょう?私は影山さんのことサッカー協会の副会長だったってことしか知らないけれど、酷いことをしたのならやっつけるしかないよね』
過程とか理由がどうであれ。そう水城は言う。しかし難しい顔を続ける塔子を見て、水城は再び口を開いた。
『…それでも迷うなら、キャプテンたちに協力するって考えていればいいんじゃないかな』
「…そっか!そうだよな、ありがとう一青!!」
『解決できたのなら良かった。どういたしましてー』
塔子の表情がようやく晴れる。雑誌コーナーの前にいた2人は結局雑誌は手に取らず、壁山と同じくみかんだけを購入してコンビニを出たのだった。
666人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:不二市 | 作成日時:2017年9月20日 9時