【イナズマイレブン】紺碧のイノセンス (ページ25)

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25話ページ25

「逃げ足だけは天才的ね…」

「木暮君しっかりして!逃げてばっかりじゃ駄目よ!!」

夏未が木暮を見ながらそう言うと、春奈が手でメガホンを作り叱咤激励する。

『木暮君、凄いね』

「え?」

『だって、ボールが見えてるから避けられるんでしょう?しかもあんなに跳ねたりしゃがんだりしてるのに、息が切れてない』

水城がそう言うと春奈は木暮に目を移した。他はボールをぶつけられたり転んで泥だらけなのにも関わらず、彼のユニフォームだけは貸し出されたときの綺麗なままである。

「まもなく3分、我らは次の一撃をもってこのゲームを終了する。聞けい人間ども!!我らは10日の後にもう一度勝負をしてやろう。だが、お前たちは勝負のその日まで果たして生き残っていられるかな?」

「何…!?どういう意味だ!!」立ち上がりながら問い質す鬼道には答えずにボールを真っ直ぐに蹴る。その強烈なボールは砂塵を巻き上げ、ブロックしようと突っ込んだ吹雪を吹き飛ばした。

「木暮ー!伏せてろー!!」

円堂が叫ぶも、轟音が響いているうえに切迫している木暮には聞こえていない。

「うわわわわ…!ええっうわあ!!」

「えっ!?」

ついにボールが激突してしまう、というところで木暮が倒れていた壁山に足を取られる。それで避けるどころか、倒立のように上がった足はボールを上手く挟み、小さな竜巻を発生させた。竜巻が収束するとそこには足にボールを引っ掛けた木暮。

「3分経ってる…」

はっとして夏未がストップウォッチを見た。いつの間にか消えているイプシロン。フィールドには、デザームの蹴ったボールの威力が嫌でも分かる線が爪痕のように残っていた。

「木暮君凄い!!」

「偶然でしょう!所謂ビギナーズラックですよ!」

「偶然だけかしら」

「ええ!?」

「そうですよ!あれこそが、木暮君の実力なんだと思います!!」

「褒めすぎですよ音無さん!!」

春奈と目金が口喧嘩し始めたが、瞳子はそれには関わらず漫遊寺中の校舎の端を見ていた。それに気付いた秋が尋ねるが首を振ってなんでもないと返す。何を見ていたかは本人のみぞ知ることだ。