【イナズマイレブン】紺碧のイノセンス (ページ14)

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14話ページ14

『あれ?これ、ワックスじゃないかな』

塔子の無事を確認してから、水城が円堂の滑った場所に触れ言った。確かによく見ればそこだけ他と色も擦ったときの音も違う。

転んだメンバーが「ワックス!?」と声を揃えて驚く。当たり前だ、まさか一部だけワックスがかけられているとは思うまい。すると、どこからともかく「ウッシッシッ!!」と特徴的な笑い声が聞こえてきた。

「ざまあみろ!フットボールフロンティアで優勝したからって良い気になって!!」

声を辿ると中庭の茂みの中。つるピカールを持った小柄な少年がこちらを小馬鹿にしながらそこにいた。しかし転んだ中には雷門中に在学していないどころか、フットボールフロンティアに参加していない人もいるのだ。とんだとばっちりである。

「お前ええ!よくもやったなあ!!あっ待てうわあ!?」

『塔子ちゃーん!』

そんなとばっちりを食らった塔子が怒って、逃げる少年を追いかける。いや、追いかけようとした。実際は柵を飛び越え、ここまではよかったのだが、着地点に用意されていた落とし穴にまんまと嵌まってしまったのだ。

「ウッシッシッ引っかかってやーんのー!」

そしてまた泥だらけの塔子にちょっかいを出す少年。さらに怒る塔子。悪循環だ。関係ないが総理大臣の娘である。

「木暮────!!!!」

「なんだあいつ…」と風丸が呟いた直後、どこからか怒号が聞こえた。『コグレ…?』なんのことだか分からなかったが、ずっと塔子をからかっていた少年が急いで去っていったことからあの少年の名前なのだろう。「どうなってんだ…?」目まぐるしく変わっていく状況に混乱した円堂がこぼした。

「まったく、しょうがない奴だ…。ちょっと目を離したらすぐさぼって…」

蹴球道場のあった方向から、サッカーボールを脇に抱えた長身の少年が困り果てた様子で歩いてきた。声からして先程怒号を上げたのも彼のようだ。

「大丈夫ですか…!?」

「あっだーいじょうぶだいじょうぶこれくらい!!」

その少年が落とし穴から脱出する塔子を発見する。安否確認をして、答えを聞くと安心した様子で左掌に右拳を当てて黙礼した。そして立ち上がり廊下の雷門イレブンにも黙礼し衝撃の言葉を発する。

「申し訳ございませんでした!うちの部員が、とんでもないことをいたしまして…!」