一匹狼。2 【Shota.W】 (ページ9)

今日:11 hit、昨日:42 hit、合計:712,168 hit

58. ページ9

.

.

｢東高、友達いるの？｣

朱里｢んーん、いるとかじゃないんだけど。

やっぱ気になるじゃん、イケメンいるって聞いたし｣

｢その言葉目黒くんが聞いたら悲しむよ… ｣

彼も1年のあいだでめちゃくちゃ人気らしいけど。

私のことを初見から『お姉さん』と呼ぶくらい

ちょっとバカなのかチャラめなのかわからない人で
はあるけど笑

｢まあこっちに来るかはわかんないし、

とりあえず私たちは今いる人たちを満足させないと｣

朱里｢それもそうか、よし！

A、渡辺くん呼んできて！｣

｢はーい…… ｣

バスケ部が帰ったあと、ちょっと休憩させて、

と力なく言った彼。

たぶん、寝てるんだろう。

私はすぐ教室内にある休憩室に入った。

｢渡辺くん？ごめん、休憩……、ああ…笑｣

渡辺｢ Zzzz… ｣

…寝てんなあ………笑

｢渡辺くん、起きて｣

渡辺｢ ………………… ｣

｢ …渡辺くん？｣

渡辺｢ …………… ｣

………起きない………………!?

｢えぇぇ………ちょ、渡辺くん｣

渡辺｢ ………んん……… ｣

声をかけるも唸っただけで、なかなか起きない。

早く起こして連れてかないと、朱里に怒られる。

それにこれから忙しくなりそうだし…。

｢渡辺くん疲れてるのはわかるけど… ｣

あまりに起きないから、

とうとう揺らす作戦に出ることにした。

…それでも、起きないけど。

｢おーきーてーー…！｣

肩をぶんぶん揺らす。

すると、

.

.

パシッ、と軽く音がして。

｢え、……と… ｣

肩を揺らしていた私の右手首が、

色白の大きな手によって握られていた。

…無論、渡辺くんの手に。

｢渡辺くん…？｣

まさか、怒らせた………？

でも彼の目はまだ、開かれていない。

起きた？起きてない？

手首を握られたまま、ぐるぐる考える。

すると渡辺くんが薄く口を開いた。

｢あ、あの、｣

.

.

.

渡辺｢＿＿＿＿＿＿……すき… ｣

わずかに掠れた声で、確かにそう聞こえた。