一匹狼。2 【Shota.W】 (ページ19)

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｢ ……これ、結構本格的じゃない？｣

佐久間くんに連れられてやってきた教室には、

血のりや黒い絵の具をふんだんに用いられている

お化け屋敷の看板がでかでかと掲げられていた。

外装からかなり凝ってる。

ここも人気だっていうのは朱里から聞いてたけど…

なるほど、この高クオリティだからか………笑

佐久間｢ 2名様入りまぁぁす！｣

ちょっと待ってて、と私たちに言った佐久間くんは

教室のドアをちょっと開けてそう言った。

その声の大きさのおかげで、

中で絶賛怖がり中の人たちの悲鳴が聞こえてきた笑

岩本｢おま、もうちょい静かにしろ笑

…あれ、翔太と若林さんじゃん｣

｢なんとなく流れで着いてきたけど、

…これめっちゃ怖いでしょ？笑｣

そう聞くと、

廊下で受付をしていた制服姿の深澤くんが

『よくぞ気づいてくれました！』と笑った。

深澤｢そりゃーもう、うちのはMr.お化け屋敷こと、

岩本照さんの意見を存分に取り入れたからな！｣

岩本｢ふっかそこは言わなくていいから！｣

なるほど、

どうやら岩本くんはお化け屋敷が苦手らしい。

でもかく言う岩本くんはもちろん脅かす側で、

百均とかで売ってる怖いお面を引っさげている。

渡辺｢つか佐久間は脅かす側じゃないんだ｣

佐久間｢あー俺は阿部ちゃんから止められた！

俺たぶん脅かしながら笑っちゃうからさー笑｣

渡辺｢悪魔か｣

そんなことを言っていると、

あっという間に私たちの番が来た。

受付の深澤くんが渡辺くんに懐中電灯を手渡し、

私にお札を渡してくれた。

出口のところのポストに入れるんだって。

それで、クリアしたかがわかるっていうシステム。

深澤｢翔太頑張れー｣

岩本｢男見せろよ？｣

渡辺｢いやほんと黙ってて｣

そして私たちは、

真っ暗な教室へと足を踏み入れていった。

渡辺｢ …うわ、気持ち悪｣

｢え？｣

渡辺くんが指さす方向を見ると、

『呪』という文字が黒板にびっしり書かれていて。

……行く末が、かなり不安です。