1の28 ページ30
宗三side
夜、なかなか寝付けず、気晴らしにと思い、厨に向かったはいいが、思わぬ先客がいて入るのを躊躇った。
何かを探しているのか、ペタペタと床を触っていた彼は、しばらくして諦めたのか、ため息をつきながら床に置いていた提灯を手に取った。
このままでは鉢合わせすると思った僕は何故か見習い部屋とは反対方向の角まで戻り、彼から隠れる。
僕に気づいた様子のない見習いは、慎重な足取りで廊下を進んでいく。
何をそんなに警戒しているのかとも思ったが、そういえば初代も夜はこんな歩き方をしていたな、と思い出した。
そうだ、人間には月の出ていない夜は暗すぎるのだ。
なまじ自分が見えるものだからすっかり忘れていた。
時折吹く強風に飛ばされそうになるふーどとやらを抑えながら彼はようやく曲がり角まであと半分、というところまで来た。
……よく無事にこれましたね。
あまりにも危なっかしいため、部屋まで案内しようと彼に声をかける。
「……あの、」
原因は、提灯の明かりが消えた直後に声をかけたことだろう。
プツリと糸が切れたように倒れた彼を揺すりながら、頭の片隅でそんなことを考えた。
なら、なぜ彼は気絶したのか。
そんなに僕が怖かったのか、それとも光がないのに怯えたか。
どちらにせよ、僕が分かることではない。
早々に諦めた僕は見習いを抱き上げ、彼の部屋へと運んだ。
物の少ない部屋。
電気をつけて部屋を見れば、一度寝た痕跡のある布団が端に敷かれていて、そこに彼を寝かせた。
文机の上には３つの紙飛行機と墨汁。
枕元に置いてあったほわいとぼーどとやらに”お大事にしてください”と書き、電気をつけっぱなしにして見習い部屋を後にした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 342人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
灰雪(プロフ) - 壬卯兎さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！とうらぶ小説一緒に増やしましょう！更新頑張らせて頂きます！ (2017年12月14日 20時) (
レス) id: 20a4380b24 (このIDを非表示/違反報告)
壬卯兎 - 面白いです！なんかもう、書き方から何まで凄く参考になります…これからも頑張ってください！＆私もとうらぶ書いてるので一緒にがんばりましょう！更新楽しみにしています！ (2017年12月14日 8時) (レス) id: 1ea793e7a1 (このIDを非表示/違反報告)
灰雪(プロフ) - 苺パフェさん» ありがとうございます！狭いジャンルなので初めて読むと言われると嬉しいです！更新頑張らせて頂きます！ (2017年12月12日 22時) (レス) id: 20a4380b24 (このIDを非表示/違反報告)
苺パフェ - 面白かったです！初めて読むタイプの作品でした。大変でしょうが、続きがめっちゃ気になるので、更新、頑張ってください！ (2017年12月12日 21時) (レス) id: 92fa33393a (このIDを非表示/違反報告)
灰雪(プロフ) - 銀色ミカンさん» 応援ありがとうございます！更新頑張らせて頂きます！ (2017年12月12日 19時) (レス) id: 20a4380b24 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
