1の十四 ページ15
電気の点いていない部屋の光源は廊下から差し込んだ光。
床にできた光の道の上に倒れているのは真っ赤に染まった布を腹に巻いた少年。
そしてそれを薄ら笑いで見つめるのは文机に腰掛けた青年。
少年の祖父から送られた手紙を手にする青年はおもむろに立ち上がった。
「こんなに手のかかる孫を残して逝くなんて……
手紙の送り主の名をうっとりとした表情で呼んだ青年は維人の愛用していた筆を手に取り、宙に文字を書いた。
「君は刀の付喪神に恋い焦がれているくせに僕のことは全然気づいてくれなかったんだから」
”古いものには魂が宿る”
”そうなる前に捨てなければ”
歴史的価値なんて何もない、ただの筆を好んで使ってくれたこの一族に。
捨てずに取っておいてくれたこの少年に幸あれ。
自分を形作る全ての想いを賭して、付喪神は少年に力を渡す。
「残念だったね、人間。僕さえいなければ彼を殺せたのに」
鏡の向こう側にいる女に向けて、ニコッと筆の付喪神は笑う。
丑三つ時は魔物の時間。
力の弱い彼が一番強くなる時間。
だから、そこで力を使いきれば
「もう、彼は殺せないね」
朝を迎えることはない。
それでは皆さん、良い夢を。
鏡は何も、映さない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 342人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
灰雪(プロフ) - 壬卯兎さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！とうらぶ小説一緒に増やしましょう！更新頑張らせて頂きます！ (2017年12月14日 20時) (
レス) id: 20a4380b24 (このIDを非表示/違反報告)
壬卯兎 - 面白いです！なんかもう、書き方から何まで凄く参考になります…これからも頑張ってください！＆私もとうらぶ書いてるので一緒にがんばりましょう！更新楽しみにしています！ (2017年12月14日 8時) (レス) id: 1ea793e7a1 (このIDを非表示/違反報告)
灰雪(プロフ) - 苺パフェさん» ありがとうございます！狭いジャンルなので初めて読むと言われると嬉しいです！更新頑張らせて頂きます！ (2017年12月12日 22時) (レス) id: 20a4380b24 (このIDを非表示/違反報告)
苺パフェ - 面白かったです！初めて読むタイプの作品でした。大変でしょうが、続きがめっちゃ気になるので、更新、頑張ってください！ (2017年12月12日 21時) (レス) id: 92fa33393a (このIDを非表示/違反報告)
灰雪(プロフ) - 銀色ミカンさん» 応援ありがとうございます！更新頑張らせて頂きます！ (2017年12月12日 19時) (レス) id: 20a4380b24 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
