翠色の瞳の貴方へ (ページ3)

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想いを叶えて　#2 ページ3

以前のホテルと同じ、とは行かず、今回は至って普通のビジネスホテルを取ってくれた。
でも私にはこの方が性に合う気がする。
立派なベッドも上等なソファもない、普通の部屋。二人並んでソファへ座り込むと沈黙が続く。

私が話し出すまで待ってくれているシャルの優しさが伝わってきて、大きく鳴り響く心臓を抑え、意を決して話し出す。
『勇気を出すよ』そうパクへ伝えた時の、あの気持ちを思い出して自分を奮い立たせる。

「シャル、あのね……さっき……私初めて知ったの」
「ん？何が？」

優しく微笑みながら、私が話し易い様に雰囲気を作ってくれる。

「私ずっと……『なんでお留守番ばっかり』って……不満があったの」

私が正式な団員じゃないからなのか。仲間だと思っていたのは私だけだったのか。そんな卑屈な考えもあった。

「でも、シャル……シャルが……シャルが守ってくれてたんだね……」

――――『団長はAを連れていきたがってたけどシャルかま団長に頼み込んだんだよ。『Aはきっと人を殺すなんて望んでない。自分を殺そうとした村の人達を殺した事ですら悔やんでるAが、俺達と一緒に殺しなんてしたら、表面上は普通を装っていてもきっと心は死んでいく。それだけは避けたい。だからAは留守番させてあげて』って。二人でえらく揉めてたけど、結局シャルが団長を説得してAは留守番ってことになったんだよ』

フランクリンから告げられた真相。
一緒に資料庫へ行った時からずっと、私を、私の心を守ってくれていた。

「シャル……ごめん、ごめんなさい。私、シャルがそんなに私のこと想ってくれてたなんて知らなくて……」

ぼろぼろと溢れる涙。自分が恥ずかしくて顔を上げれない。
私にはカルマがあるんだから足手纏いにはならない、なんて息巻いていたのは私の思い上がりで、シャルの方がよっぽど私のことを理解してくれていた。

「なんだバレちゃったか……。ほら、言っただろ？ Aの心を俺は守りたいって」

俯いたままの私の肩をシャルが優しく包み込む。この優しさに幾度となく救われていた。今だけじゃなく、私の知らないところでも。

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