真心 #2 ページ7
「あ、ちょっと待って下さいクロロさん。コーヒー淹れてきます」
「あたしも手伝うよ」
用意していたお皿にシャルがケーキを取り分けてくれているから私は飲み物を、と立ち上がるとマチも一緒に付いてきてくれる。
「本当に? ありがと、マ」
「っちょっと引っ付かないで、暑苦しい」
勢い良くマチに抱きつくと手で押し退けられたけど、照れ隠しだってことは最近ようやく分かるようになってきた。
わいわいと騒ぎながら二人で部屋を後にすると、マチから妙に真剣な声で問われた。
「もしかしてこのお菓子もシャルに頼まれたの?」
以前の服の修理の時のことを思い出したのかな。
「え? 違うよ」
そう答えると、拍子抜けした様な顔で質問は続く。
「じゃあ何で?」
「食べて欲しかったからだよ」
「シャルに?」
「っ、皆にっ!」
「顔真っ赤にして、説得力ないよ」
「〜〜っ!!!」
シャルに食べて欲しかった、って気持ちが全く無いわけじゃない。
シャルだけじゃなかて、クロロさんやマチ、出来れば他の団員達にも食べてもらって喜んでもらいたい。
その気持ちは紛れもなく本当だ。
マチはいつもシャルのことでからかってくるけど、シャルだけじゃないよ。私は皆のことが大好きなの。
「マチ、大好きだよ」
「言う相手間違えてるよ」
「間違えてないよ。マチ、大好き」
村の仲間達には抱いたことのない気持ちだから少し気恥ずかしいけど、精一杯今日も伝える。もう二度と仲間を失いたくはない。でももし仮に彼らが私を殺そうとしたとしても、私はきっと後悔はしない。
だからそんな日がもし来た時の為に伝えれる時にこうやって、皆に私の気持ちを伝えようと思った。
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作者名:咲月 | 作成日時:2020年1月8日 0時