お気に入り #1 ページ45
秋に近付き、だんだんと涼しい日も増えてきた。少しづつ紅葉を迎えた木を見ながら、今日も私はお留守番。
「今回の仮宿、紅葉が見れていいね」
木々の生い茂る場所にぽつんとある、天井の壊れた薄汚れた廃墟で、空を見ながら問いかけるが返事はない。
「おーい、せっかくの秋晴れなんだし、こっちで紅葉見ようよフェイタン」
少し声を大きくし、話しかけるがやはり返事はない。そしてその理由も分かっている。
「ね、いつまで拗ねてるの？ そんなに私とお留守番するの嫌？」
「留守番が嫌ね。何で私留守番か？」
「仕方ないじゃん、クロロさんが決めたんだから」
「なとくいかないね」
ぶつぶつと文句を垂れるフェイタンだけど、きっとフェイタンを連れてると面倒な場所なんだろう。フェイタンは子供に間違えられそうだから、子供は立ち入り禁止の場所とか。私の勝手な想像だけど、もし本当にそうだったら、と思うと少し笑えてくる。
ただ今回はクロロさんは本拠地、仮宿には私とフェイタン、シャル、ノブナガ、パクノダ、フィンクスのメンバーだから黙って付いて行ってもバレなかったと思うのに。
「フェイタンさ、夏もその服暑くないの？」
「別に平気ね」
「真冬は逆に寒そう……」
「さきから煩いね」
退屈を持て余し、することが無いから必要以上に話しかけるけど、フェイタンの機嫌が治ることはない。でも、退屈なのは同じ様でフェイタンからも話題は振ってくれる。
「Aなんでシャルのこと好きか？」
まさかフェイタンにそんなこと聞かれるなんて思わなかったからびっくりして一瞬時が止まってしまった。
「な、なんなのフェイタンまで」
「私恋だの愛だの知らない。なぜシャルの為そこまで
「私だってそんなの知らなかったよ。でもシャルが教えてくれた」
そう言って少し笑うと『理解出来ない』と言いたげな表情で私を見つめる。少しの沈黙の後、またフェイタンが話し出す。
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作者名：咲月 | 作成日時：2020年1月8日 0時
