翠色の瞳の貴方へ (ページ30)

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衝動　#2 ページ30

「シャル？」
「Aが楽しそうだったからさ。俺まで嬉しくて」
「そ、そうかな……？」
「そうだよ。……俺はちょっと部屋に戻るけど一緒に来る？」

シャルにそう告げられ、私は少し考えて答える。

「ううん、ここで皆と話してる。私ばっかり休んじゃってシャルは全然休めてないでしょ？一人でゆっくり休」
「そう思うなら傍に居てよ」

シャルが私の腕を引き寄せ、耳元でそう囁く。

「……っ！」
「なんてね、冗談冗談。巻物も確認しなきゃでしょ？俺は部屋で休んでるから、何かあればいつでも来てよ」
「分かった……っ」

まだシャルの吐息の暖かさが残る耳を手で覆う。
そうだ、出会った時からこういう男なんだ。私を揶揄って楽しむ、意地悪で優しい小悪魔の様な男。

「じゃあまた後でね」

そう言いシャルは自室へと向かっていった。
私の後方から、私を呼ぶパクの声が聞こえ振り返ると優しい笑顔で私に近付いてきた。

「A、あっちに巻物があるから読んでみなさい」
「読む……？」

言われた言葉の意味がよく分からなかったけど、言われた通り巻物を持ち、開けてみると“無から生まれし命不老不死となりて”と書かれた文字の後にびっしりと書かれている小さな文字が目に入った。

「これ……」
「まず一番に貴方が読むべきものよ、きっと」
「一人になってもいい？」
「構わないわ。ねぇ、団長？」

クロロさんを見ると本を片手に頷く。その返事を見て、私も自室へと向かった。

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