触れ合いたい #1 ページ23
「あれ？ 先に寝てていいって言ったのに」
「なんか慣れなくて寝付けなくて……」
「そっか」
部屋に戻ってきたシャルが布団の中で座って本を読んでいる私を見て少し驚いていた。
「A、少しだけ俺の話聴いてもらってもいい？」
シャルがもう片方のベッドへ座り、私の顔を見て言う。いつになく真剣な顔で、少しドキッとする。
「どうしたの？」
読みかけの本をベッドの傍に置き、少し身体を動かしシャルの方を向く。
「何十回、何百回、何千回とこれからも言い続けるけど」
シャルはゆっくり、力強く、はっきりと私へと言葉を紡いでいく。
「俺はAの事が好きだよ」
「……っ」
私の目を真っ直ぐ見てそう告げるシャルの言葉に思わず照れてしまう。
「Aは頑なに認めないけど、俺のことを好きでいてくれてるのも分かってる」
「な……っ」
やっぱり、隠しても隠しても隠し切れないほどシャルへの気持ちは大きくなっていってるんだと痛感する。
「俺はAの彼氏になりたいわけじゃないから、それでも構わない。でも、やっぱりAの事を守るのは俺でなきゃ駄目だと思うから」
「……」
「約束する。どんな事があってもAの隣にいるよ。必ずAを守る」
「……」
「俺と一緒に生きてくれない？ 好きだとか愛してるとかそんな言葉はもう望まないから。一緒に生きてくれるだけで充分」
真っ直ぐ、一瞬も私から視線を外さずに私へ問うシャル。
『一緒に生きる』？ 私より先に死ぬ人が、何を言ってるの。私を置いていずれ死ぬくせに。私のように何百年と生きれないのに。
そんな思いがぐるぐると頭を駆け巡る。
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作者名：咲月 | 作成日時：2020年1月8日 0時
