私の心は燃えている #4 ページ18
「本当にこんないい部屋に泊まるの？」
「そうだよ。とりあえず先に食事しよう。なにがいい？」
そう言ってシャルは、ルームサービスの食事メニューを渡してくれる。メニューを開くと難しい名前のメニューが並んでいる。
「シャルのオススメで……頭が追いついてなくて食べたいものが分かんないよ」
「あはは。二人っきりの夜だからね、特別な空間で過ごしたかったんだよ」
さらっとシャルに言われて、顔に熱が篭る。
「わ、私先にお風呂入ってくる！」
逃げる様にその場を後にすると、シャルが『ごゆっくり』と言葉をくれた。
脱衣所だけでも部屋に出来そうなぐらい広くて、ドアを開け頭からシャワーを浴びる。ふと横を見ると浴室からも夜景が見えるみたいで、色とりどりの光が幻想的で綺麗だ。
「もう何がなんだか……」
全身の汗を流し浴槽へ入る。ぶくぶく、と顔を沈め何が起こっているのか整理する。
「ぷはあっ」
勢い良く水面から顔を上げ、先程の事を思い出す。
シャルに好きって言ってしまった。絶対に言うつもりなんて無かったのに。認めたくなかったのに。
「どうしよう……」
これから朝までシャルと二人っきり。上手くかわしてすぐにでも眠りたいけど、睡魔なんて微塵も感じない。
「A〜食事が来たよ。ゆっくりお風呂入ってる？ 食事は後でまた温め直す？」
ぐるぐると頭の中で考えていると、脱衣所の扉の向こうから小さくシャルの声が聞こえる。
「も、すぐ出るよ！ 先に食べてて！」
慌てて返事をし、深く深呼吸をする。汗は充分流れ、身体の火照りも少し治まった。ここに長居する最もらしい言い訳も思い付かずお風呂を後にする。
考えたって仕方ない、なるようになる。そんな風に考える他思い浮かばなかった。
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作者名：咲月 | 作成日時：2020年1月8日 0時
