検索窓
今日:4 hit、昨日:51 hit、合計:929,797 hit

70. ページ20

.









「おかん! だいき起きた!
おーい、甲子園のスターやでー?笑」









望が、大毅んとこ行きたい!って早起きしてきたから、

次の日は、先生にお願いして、

面会時間の少し前から病室に行かせていただきました。





とりあえず、時間つぶしに2人でサンドイッチを作って。





ガランとした病院に2人で忍び込み、

病室で大毅の目がさめるのをひたすら待っていました。









「甲子園のスター!?
途中参加のベンチが何ゆうてんねん。」









しかも、一回あんた三振やったしなぁ?





大毅に意味のわからんテンションで絡む望に、

ひたすら私はツッコンでいたのですが、









そんな空気じゃないことに気づくまで、





そう時間はかかりませんでした。



















「……だいきっ、? おーい。 どこ…みてるん、?」



















薄く開き、まばたきもせず、

ただただぼーっと空気を見つめる、目。









そして、









その大毅の表情が少し柔らかくなったかと思えば、





























突然、心電図のモニターが、

異常なアラーム音を鳴らし始めました。





























「……だいきっ、だいきっ!!!!
なぁ、しっかりしろって!! だいきっ!!!」









知らん間に目を閉じていた大毅の掛け布団を、

力強く握り、気持ちのまま揺さぶる、望。









私は、息をするのを忘れて、

ただただ、その場に立ち尽くしました。









「失礼します、 だいきー? 目ぇ開けれるかー?
ちょっと弟くんごめんな、危ないから退いといて?」









その音を聞きつけ、

病室に飛び込んできた、桐山先生。




あと、もう1人お医者さんと、看護師さんが数人。



















「DC持ってきて! 酸素全開!」

「心マ開始します!」

「輸液もスピードあげて!」

「DCきました!」



















大毅の周りに、どんどん人が増えていって、





どんどん機械が増えていって。









「セットしました!」

「離れて!」









私たちは蚊帳の外。





望は早くも泣き始めて、私はただただ呆然と。





胸はベットが沈むぐらい押さえつけられ、

細い身体は電気が与えられるたび軽くはねて。





それでも異常なアラーム音が鳴り続ける中、





先生は、私にこう言いました。









「……旦那さんに、ご連絡をお願いいたします、」





.

71.→←69.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (1763 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2132人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

のん(プロフ) - この作品大好きです。素敵な作品をありがとうございます。表現素晴らしいです。涙が止まりません。一瞬でファンになりました。 (2020年7月25日 2時) (レス) id: 56343318d5 (このIDを非表示/違反報告)
ごま - 声出して泣くくらい本当に号泣です。素敵な作品に出会えてよかったです!ありがとうございます。 (2020年5月10日 1時) (レス) id: d07563048d (このIDを非表示/違反報告)
いっちゃん(プロフ) - 初めまして!久々に小説で号泣しました。友人に勧めたくなるくらい素晴らしいお話に出逢いました。ありがとうございました。 (2020年5月6日 17時) (レス) id: a6f24fa91f (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - はじめまして、知り合いに勧められて一気に読みました。途中から涙が止まらなくて、親には心配されました笑多分何回もまた読みに来ると思います、最高の作品でした。作者さんの他の作品も読んでみますね。素敵な作品をありがとうございました。 (2020年5月5日 9時) (レス) id: f84ebdac68 (このIDを非表示/違反報告)
たぁ(プロフ) - こんにちは。もう一度読みたくなってきちゃいました笑 ほんとにこの作品素晴らしいです>_< 何度涙を流したことか…最高の作品をありがとうございます。 (2020年5月4日 17時) (レス) id: 4b1a527b81 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:茉都香 x他1人 | 作成日時:2017年1月4日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。