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《…わかりました。 また新しい薬を処方します。》
旦那と望を見送って、さっそく桐山先生に連絡をすると、
先生は、すぐに返事を送ってくださいました。
「…早めに取りに行った方がええよなぁ、」
「…おかん、どっか行くん?」
それに対して、ぽつりと独り言を呟くと、
なんともいいタイミングで起きてきた、大毅。
その顔は、やはりいつもより断然青白くて、
明らかに体調が悪いのが見て取れました。
「…おはよう、だいき。」
「…おはよ。ごめんな、わざわざ起こしてもうて。」
そして、その顔色のまま、
ただただ、申し訳なさそうな表情。
そんな謝ることないのに。
だって私は、あなたの母親なんですから。
「気にしんといて? それより、あれからは寝れた?」
「…ぉん、なんかおかんの布団やったからか、
めっちゃぐっすり寝れた。 ありがとう。」
その言葉には、本当に照れました。
みんなママ友とかは、
高校生の息子は可愛くないって言ってたんですけど、
うちの子、可愛すぎでしょ、って。
確か、大毅も望も反抗期はなかったですしね。
「……っふぅ、」
そんなことを考えていると、突然頭を抑えて、
ふらふらとソファーにもたれかかる、大毅。
そしてまたすぐに、現実に戻されるんです。
「進行が、かなり早いです。」
昼を超えて、
元気を取り戻してきた大毅にはお留守番を頼んで、
その間に、病院を訪れた、私。
大毅のことを、詳しく説明すると、
なにやら険しい表情をされていました。
その後に言われたのが、さっきの言葉。
絶望的でした。
だってそれだけ、
医学の進歩を待っていられなくなるかもしれない、
ということなのですから。
「とりあえず、これを飲ませてください。
あと、お節介だと思うのですが、」
少し言葉を選ぶ、桐山先生。
ですが、飛び込んできたのは、
なんとも、どストレートなものでした。
「大毅くんには、いつおっしゃられるんですか?」
病気のこと。
もちろんわかってました。
「…なるべく早めにお願いをしたいです。
ぼくらも、大毅くんの協力のもと、
治療を進めて行きたいんで。」
気持ちはわかります。
ですが、
私たちの気持ちもわかっていただきたかったですね。
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な - 昔から大好きなお話なので、もしよろしければ Wordに内容を書き出させて頂いても宜しいですか? どこかに投稿やアップなどは一切致しません。 (2023年4月12日 23時) (レス) id: 144323ef08 (このIDを非表示/違反報告)
mothernature110(プロフ) - 24時間テレビ出てほしいですよね (2017年4月2日 19時) (レス) id: 167eecf0f9 (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - すごく感動しました。更新大変だと思いますが、これからもお願いします! (2017年1月4日 17時) (レス) id: 129d5a1fa9 (このIDを非表示/違反報告)
こためるこ(プロフ) - ほんとに号泣です ;_; もう涙止まりません! 更新頑張ってください! (2017年1月3日 2時) (レス) id: faa6f22767 (このIDを非表示/違反報告)
smile06302050(プロフ) - はじめまして!Twitter絡ませていただきます! (2017年1月2日 23時) (レス) id: a1e554584d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茉都香 x他1人 | 作成日時:2016年12月27日 20時