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頭いたい。
そう彼が訴えた時、
どうして私は何も疑わなかったのでしょうか。
「…頭? だいきが? 珍しい。笑」
昔から、風邪なんか全く引かない子だったから、
それに私は、思わず笑ってしまうぐらい。
「なに? 熱は?」
「…ない。 触って?」
「……んー、ないわ。 薬飲んで寝とき?」
季節は、確か彼が高校生になったばっかの5月。
小学校の頃から続けてた、
憧れの野球部に入部したてのころでした。
甲子園に行くんや、って学力ないのに必死に勉強して。
その疲れが今に来たんかな?
当時は、そんなことしか思っていませんでした。
「…だいき、まだ頭痛そうやで?」
次男の望。
その時にはすでに175センチもあった中学2年生。
珍しく体調の悪い兄を心配に思って、
よく、私にこっそり教えてくれました。
「あいつ、大丈夫なんか?」
こう聞いてきたのは、私の旦那。
しまいには、大好きな野球を、
すっぽかして帰ってくるようになった大毅を見て、
私たちは、これはおかしい、と気づきました。
「…だいき、1回病院行こっか?」
病院。
頷こうか頷かまいが、
私は大毅を無理やり連れて行きました。
久しぶりすぎてどこに連れて行ったらいいのか、
さっぱりわからなくて。
行ったのは、1番近い内科。
そこでの診断結果は、こう言われました。
「…紹介書を書きます。」
大学病院でもっと詳しい検査が必要だ、ということ。
「…何かっ、悪い病気なんですかっ?」
「それの検査をしていただくために紹介書を書きます。」
この場には、大毅もいました。
頭痛がひどくて、
痛み止めの点滴を打ってもらいながらでしたが。
「…ねぇ、淳太くん、どうしよ。」
検査はその1週間後。
再検査を言い渡された日の夜、
帰ってきた旦那に私はさっそく言いました。
不安で不安でたまらなかったからです。
もうこの時点で、少し後悔していました。
なんで、もっと早く、
大毅を病院に連れて行ってやれなかったのだろうと。
「まぁ、結果を見てからやって。
全然、なんともないかもしれへんやん?」
その言葉をただ、信じるだけでした。
ただの風邪であることを。
ただの偏頭痛であることを。
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な - 昔から大好きなお話なので、もしよろしければ Wordに内容を書き出させて頂いても宜しいですか? どこかに投稿やアップなどは一切致しません。 (2023年4月12日 23時) (レス) id: 144323ef08 (このIDを非表示/違反報告)
mothernature110(プロフ) - 24時間テレビ出てほしいですよね (2017年4月2日 19時) (レス) id: 167eecf0f9 (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - すごく感動しました。更新大変だと思いますが、これからもお願いします! (2017年1月4日 17時) (レス) id: 129d5a1fa9 (このIDを非表示/違反報告)
こためるこ(プロフ) - ほんとに号泣です ;_; もう涙止まりません! 更新頑張ってください! (2017年1月3日 2時) (レス) id: faa6f22767 (このIDを非表示/違反報告)
smile06302050(プロフ) - はじめまして!Twitter絡ませていただきます! (2017年1月2日 23時) (レス) id: a1e554584d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茉都香 x他1人 | 作成日時:2016年12月27日 20時