human【ワムウ&サンタナ】 リクエスト・モカさん ページ39
人というもの。
「サンタナ、ワムウ」
そう呼び掛けると、二人がこちらを見た。見た目こそ精悍ではあるが、まだ柱としては幼い。
「どうされたのですか、A様?」
「お前達に面白いものを見せてあげよう」
そう言って差し出したのは、色とりどりのキモノと呼ばれる衣服や絵の描かれた札である。
「ジャポネ、という国で拾ったものだ」
「人間がこのようなものを…?」
面白いだろう、と微笑むと二人は少し曖昧な顔をする。
戦いを愛するワムウと、まだ愛する者もないサンタナ。その二人にとってはあまり面白みがないのかもしれない。
「そうだ。こんなものはどうだろう」
「これは…」
「モチゴメ、というらしい。これを炊いて、叩くと、モチというものになる」
「モチ、にございますか…?」
「ああ。ジャポネの者は年の初めとされる日に食うらしい」
わずかに興味ありげな二人に「やってみるか」と笑う。
近場の石を削り出し、ウスとキネとよばれていた道具に近い形にする。それを洗い流して、モチゴメを炊く。ひとしきりの準備を終え、さあ、とキネを掴んだ。そして、モチゴメをつくうちに、いつの間にかバラバラだったものが一つになっていく。
それを見て、二人は驚いたように目を輝かせていた。
「これを食っていたのですか…?」
ワムウがまとまった白い塊をつまんで伸ばす。みょん、と伸びたそれに二人が驚きの声をあげた。それに微笑み、最後に、と私は二人に手招きをする。
「人間は神とやらを信じているであろう?」
「ええ…確か」
「ジャポネではお参りという形でそれを表すのだ」
「オマイリ?」
「社のようなものに向かって手を合わせる。そして、願いを心のうちに浮かべて、叶うようにと祈るのだ」
社はないから、と空を見上げる。
「お前たちも何かに試しに祈ってみるといい。時には人のようにしてみるのも愉快だぞ」
私の言葉に二人は怪訝そうな顔をする。
カーズやエシディシは決してこのようなことは言わないだろう。むしろ、人間のやることなど気に留めるようなことではないのだ、と言うのかもしれない。
だが、と私は思う。エイジャの赤石を手に入れ、太陽も食事も何一つ気兼ねせずに済む究極の生き物になれば、私達は人と共に生きていく生命であるべきではないのか、と。
だから、この二人にはわかっていてほしい。
人間は我々が思うよりも愉快で、時に素晴らしいものである、と。
BOY【ジョルノ・ジョバァーナ】→←麻酔【グイード・ミスタ】
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りと(プロフ) - ∴さて、どこへ行こうか。さん» リクエストありがとうございます!返品が遅くなってしまい、大変申し訳ありません<(_ _)>リクエストの方、承りました!ここではお話がいっぱいになってしまいましたので、続編の方で取り扱わせて頂きたいと思います(^^♪ (2021年8月23日 23時) (レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - ?さん» ?さん、リクエストへの返信が大変遅くなってしまい申し訳ありませんでした<(_ _)>リクエスト承りました!ここではお話がいっぱいになってしまいましたので、続編の方で書かせていただきますヽ(*^^*)ノ (2021年8月12日 0時) (レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - モカさん» 返信がとても遅くなってしまい、申し訳ありません!リクエスト、承りました! (2021年7月19日 22時) (レス) id: b238753ec9 (このIDを非表示/違反報告)
∴さて、どこへ行こうか。 - リクエストです。普段甘えない花京院典明の恋人(夢主)が甘える、という内容なのですがよろしいでしょうか?出来れば生存ifを希望します… (2020年11月6日 19時) (レス) id: a195df0bb5 (このIDを非表示/違反報告)
?(プロフ) - リクエなのですが、露伴先生と病弱な夢主が恋人関係なのですがその病弱な夢主が意外にも悪徳的なスタンドを持っている事を知って何があったのかと聞くと泣きながら過去にあった親からの虐.待などを夢主が語っていき、その日は思う存分甘えされるみたいなのをください! (2020年3月27日 16時) (レス) id: d243ef7454 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りと | 作成日時:2019年1月9日 21時