不老不死【ブルック】 ページ9
きっと、わたしはまた置いていかれてしまう。
暗い夜の海の音を聞いていると、1人の時を思い出してしまうのです。みんな死んでいったあの日のこと、1人で骨だけになって海を漂ったあの日のこと。
そして、思い出す度にわたしは気がつくのです。ルフィさんたちがどんなに強くとも、必ず死が訪れるということ。
そのことに気がつくたび、わたしはヴァイオリンに手を伸ばしました。楽器に触っていたら、なんだか気が晴れる気がしたんですよ。
「…ブルック、綺麗な曲だね」
不意に声をかけられ顔を上げた時、わたしは心臓が止まるような気がしました。まあ、わたしには止まる心臓、ないんですけどね。
そこに居たのは、Aさんだった。
「おや、もうみなさんお眠りになったとばかり…。すみません、起こしてしまいましたか？」
「ううん、眠れなかったから少し外の空気を吸いに来たの」
「そうでしたか」
「にしても…さっきの曲、綺麗だったけど悲しそうだった。ブルック、何かあったの？」
Aさんの問いにわたしはしばらく返事に困ってしまいました。
「…話したくないなら…」
「Aさん」
わたしは静かに切り出しました。Aさんの顔を見ないままで。
「わたしは怖いんです」
「？」
「わたしは一度死んでいますから、海に飛び込まない限りは死ねないのですが…あなた達はそうじゃない。突然死ぬこともありえますし、どんな形でも死が訪れます」
「…そうだね」
「そうなれば、きっとわたしは置いていかれる。それが、怖いんです」
死なない自分が呪わしい。わたしの物語には誰も終止符が打てない。
「…それなら、ねえ…ブルック」
貴女は少し笑ってわたしの手を取った。
「ブルックがどうしても死にたいと思う時、私が一緒に死んであげるよ。約束する」
貴女はそういって静かに微笑んだ。
「一人で死ぬのはきっと寂しいから」
無邪気に笑う貴女にわたしはなんだか心が晴れた気がした。
「その頃には貴女も死んでいるかもしれませんよ？」
「あ、そうだった…！」
「ヨホホ、その時は貴女の骨を抱いて海に沈みましょうかね」
「いいよ。そうしよう！」
一緒に死ぬ、なんて物騒な約束をしているのに、なんだか嬉しくてたまらない。いつか忘れられる約束だとは分かっているのに、期待すらしている。
貴女の腕に抱かれて死んで行けたなら、きっとわたしは幸せな死を迎えられるだろう、と。
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りと(プロフ) - こゆさん» お返事が遅くなってしまい、すみません<(_ _)>リクエスト承りました！ここではお話がいっぱいになってしまいましたので、続編の方で書かせて頂きますねヽ(*^^*)ノ (2021年8月11日 19時) (
レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
こゆ - 夢主がロシナンテと女性が仲良さげに話していて嫉妬する話を見て見たいです！ (2021年8月9日 23時) (レス) id: 0874e209a6 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - マリコさん» マリコさん、リクエストありがとうございます！しかし、残念ながらこのリクエストは受けられません…すみません<(_ _)>プリキュアに関する知識がないことや、私自身の地雷に抵触する部分がありますので…|ω･`)他の短編集でのリクエストをオススメします(´∀｀*) (2021年7月31日 1時) (レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - 嫁子ちゃん。さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけると、本当に励みになります(^^♪修正・加筆後に、また新たなお話を追加していく予定ですので、待っていていただければ嬉しいです(*´∀｀) (2021年7月31日 1時) (レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - ☆kon☆さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです(>人<) (2021年7月31日 1時) (レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りと | 作成日時：2018年1月16日 22時
