黒い羽【トラファルガー・ロー】 ページ32
私はこの世ならざるものが見える。
｢…！｣
ふと足元に黒い羽根が落ちているのに気が付いた。そして、ああ、今年も来たのか…と私は少し頬を緩めた。落ちている黒い羽をたどりながら、私は船長のいるであろう甲板に歩いて行った。
月明かりの下で船長は海を見ていた。
そして、その隣に『彼』はいた。
｢
｢Aか……来たのか？｣
｢はい｣
これは、船長の誕生日になると現れる彼と船長との恒例行事だった。いわゆる霊媒体質の私は船長と彼の恩人・コラさんの橋渡し役をしている。
｢悪いな、Aさん｣
｢コラさん、気にしないで｣
毎年繰り返す挨拶を終えて、私は黙って船長の横に立った。
｢コラさん……俺は、仇を取れた｣
コラさんは少し寂しそうに笑って、何も言わなかった。
｢ケジメをひとつ、つけられた気がするんだ｣
私は普段は吸わないタバコに火をつけて口にくわえた。コラさんが好きだった銘柄だ。
『ロー』
私の口から低い声が漏れた。コラさんが私の中に入ったらしい。
『これから、お前はどうするんだ？』
｢海賊王を目指す｣
『そうか』
少しコラさんは嬉しそうだ。
『心配だったんだ。俺のことばかり考えて、復讐の先を何も考えてなかったら…ってな』
「はじめはそのつもりだったんだが…自由になってみると、案外やりたいことが見えてきた」
『…そうか、それならよかった』
私の目から大粒の涙が落ちた。
『お前はやっと自由になれたんだな』
船長は少し泣きそうな顔をした。
『思い残すことは、やっとなくなった』
死者はこの世に未練を残すから、魂をこの世にとどめてしまう。だけど、未練が消えれば魂はあるべき場所に還っていく。
船長もそれがわかっているから、少し寂しそうだ。
｢行っちまうのか｣
『ああ』
｢…｣
『ロー、仲間は大切にするんだぞ。いいな？』
船長は深く帽子を被りなおして、小さく頷いた。
『あと、いい加減伝えたらどうだ？』
｢っ！？コラさん、あんた─！！｣
『それじゃあ、俺は行く。Aさん、あんたには世話になったな』
ふっと体からコラさんが出ていった感覚があった。
「あ、それと…」
消えていこうとするコラさんが私に耳元でささやいた。その言葉に私は赤くなる。
コラさんはそんな私を見て、微笑みながら光の粒になって消えた。
「天国であんたら二人の幸せを祈ってるぜ」
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りと(プロフ) - こゆさん» お返事が遅くなってしまい、すみません<(_ _)>リクエスト承りました！ここではお話がいっぱいになってしまいましたので、続編の方で書かせて頂きますねヽ(*^^*)ノ (2021年8月11日 19時) (
レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
こゆ - 夢主がロシナンテと女性が仲良さげに話していて嫉妬する話を見て見たいです！ (2021年8月9日 23時) (レス) id: 0874e209a6 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - マリコさん» マリコさん、リクエストありがとうございます！しかし、残念ながらこのリクエストは受けられません…すみません<(_ _)>プリキュアに関する知識がないことや、私自身の地雷に抵触する部分がありますので…|ω･`)他の短編集でのリクエストをオススメします(´∀｀*) (2021年7月31日 1時) (レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - 嫁子ちゃん。さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけると、本当に励みになります(^^♪修正・加筆後に、また新たなお話を追加していく予定ですので、待っていていただければ嬉しいです(*´∀｀) (2021年7月31日 1時) (レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - ☆kon☆さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです(>人<) (2021年7月31日 1時) (レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りと | 作成日時：2018年1月16日 22時
