21 ページ22
八年後________
私が『天人五衰』として起こした事件は
結局は福沢率いる探偵社と
森鷗外率いるポートマフィアによって止められた。
「お前は寂しかったんだと思うぞ」
福沢の静かな声にが私の耳に届く。
私はゆっくりと瞳を閉じた。
そしてもう一度開き、再び刀を握る。
そして、福沢に言った。
「…さらばだ、福沢」
「!よせ、A…!!」
私は神刀・雨御前を心臓に突き刺し
吐血して倒れた。
そして福沢が近寄って来るが
死んだと察したんだろう。
脈の確認は何故かせずに
奴は私に背を向けた。
奴の頬を伝う透き通った涙が、一瞬見えた。
その隙に私は転移魔法を使用し
異世界へ帰還した。
しかし、魂に傷が入り
いつもの私の支配地には転移出来ず
感覚で来慣れていた北の大陸に降り立った。
猛吹雪の中、意識が朦朧とする中
流れ、広がっていく血溜まりを見つめる。
最初は膝をついていただけだったが
それも苦しくなり
とうとう冷たい地面に倒れた。
熱を持つ体でも感じる、冷たい感覚。
傷口が広がっていく。
瞳も殆ど閉じたその時
小さく知人の声がした。
豪く焦っている様なその声に
まともに反応は出来なかったが、
優しく抱きしめられている事は判った。
109人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:響輝 | 作成日時:2022年12月1日 1時