幸せを君に

傷 ページ3

お風呂に入るタイミングでいつも目に入る胸元の傷。
たばこを押し付けられて出来たその傷は、そっと撫でると少しざらっとしている。

キタナイ

あの人の記憶と同じで消えない傷。

あまり見ないようにしながらお風呂から出ると楓先輩からLINEが来ていた。


楓先輩今日聞いたテレビ収録、来週の月曜になったって!


次の月曜か…
今日が木曜日だから四日後。
心の準備しておかなきゃ…


楓先輩にわかりましたと返信をして、寝る準備を整える。


月曜のことを考えるとなかなか寝付けない。
どんな人が来るのだろうか、テレビに私は映るのだろうか…
そう考えてハッとした。
もし私がテレビに映ってしまって、それをあの人が見たら…
今の私の居場所があの人にばれてしまう。
もうあの人は私のことなんてどうでもいいかもしれないけど、私はあの日、勝手に逃げ出したから、もし、まだあの人が私を探していたとしたら、きっと…
きっと私を探しにくる。
そうなったら…


こわい…



もしまたあの人に見つかったら、何をされるかわからない。
今度こそ死んでしまうかもしれない。


一度頭をぐるぐるし始めたこの思考が、簡単に消えるわけはなく、結局一睡もできずに朝を迎えることになった。

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