恋愛が解らない人が恋愛出来るわけない (ページ1)

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私は、女子たちが繰り広げる恋バナについていけなかった。

　小学生の頃は純粋だった事もあって、きゃあきゃあとはしゃげるくらいにはついていけたのだが、歳を重ねる毎にその勢いについていけなくなった。決して人の恋心が解らない訳ではなかった筈なのだが、年齢イコール彼氏いない歴と自虐できるようになってからは、“好き”という感情が解らなくなっていた。

「あのさ、クラスに長身のカッコイイ男の子いるじゃん？」
「いるねぇ！」
「私その人の事す、好きなんだ！わー言っちゃったあ！！」

　修学旅行の夜のホテルで、班になった子達が集まって恋バナを繰り広げる。別に話に入らなければ私も楽なのだが、お節介な彼女らは私に話題を振ってしまう。

「えー嘘ぉ！？」
「あかねそういう人好きなんだ以外ー。ねぇね、Aは？好きな人とかいないの？」
「いなかったら好きなタイプでもいいんだよぉ」

　答えにくい。自分の中で確立されていない質問をされるのは、本当に苦手だ。好きな人とか、タイプとかは特に。
わからないから、答えられない。

「そうだね…」

　でもそんな事言ったら、ネタを求める彼女たちをがっかりさせてしまうだろうから。テンプレともいえる答えを返した。

「好きになった人が私の好きなタイプだよ。きっと」
「…」

　一つ言い忘れていたがこの部屋は真っ暗だ。カーテンから街灯の光が盛れていたりするが、相手の顔は認識出来ない。だから、急に訪れた沈黙にどうすればいいのかわからない。え、なんだなんだ。

「ろ、」
「ろ？」
「ロマンチック〜」

　心配は杞憂に終わりました。予想外の反応をもらい、訳もわからず布団に潜り込む。ヒューヒューと煽るような口笛があるが、好きな人はいないと言った筈なんだがなぁ。

「Aもいい恋出来るんじゃない？」
「ロマンチスト…いいねぇ」
「好きな人になった人がタイプって何カッコイイこといっちゃってんのー！惚れるよ！」
「いやお前には惚れた人いるでしょ」
「おっとそうだった！」

　褒め言葉なのかわからない言葉をやんわり受け取って、いい加減眠りにつく。その後も、眠った私を省いた恋バナは続いた。