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偽笑い 06 ページ7

「気分はどうだい?」


背けていた顔を太宰に向けた時、
やはり彼は笑顔だった。

だが、何も喋らず
無言の沈黙が医務室に積もっていく。


「まあそう警戒しないでくれたまえ。 私はただ君と話したいだけなのだから」


一方、太宰も笑っていた。

胡散臭い笑みだと少年は思った。

2人のその笑顔は
緊張、警戒、闇が籠るこの場に不釣り合いだ。


光の映っていない瞳で互いを探りあう。

数十秒間その状態が続いたが、
先に折れたのは太宰だった。

息を吐いて、先程までの
胡散臭い笑みではなく、どこか優しげに笑った。


その瞳にはいつの間にか光が戻っていた。


「今は何をきいても
 答えてくれなたそうだね」


近づいてくる太宰に微かに反応した少年の予想に反して

太宰は丁寧な手つきで
少年のチョーカーを外した。


「暫くは安静にしておいた方がいいよ。
 それに、私達も君について
 色々と知りたいからね」


人差し指を自らの口に当て太宰は云った。


「勝手に帰ってはいけないよ」


そう云うとくるりと背を向けて
その場を立ち去ろうとした...





のだが......


「待って」


太宰も予想に反し、
外套の裾を引っ張られひき止められた。



不安そうに此方を見つめる少年の手によって。

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細桜 - Cssって何?! (2020年4月21日 12時) (レス) id: 87eabdb106 (このIDを非表示/違反報告)
反生命者 - 本当ですね。間違っていました。 ご指摘ありがとうございます! (2020年1月10日 19時) (レス) id: 4e8a64dd85 (このIDを非表示/違反報告)
露亞(プロフ) - ま、魔神ではなく、魔人では……?あ、更新頑張ってください!! (2020年1月7日 14時) (レス) id: 5fe7b44b45 (このIDを非表示/違反報告)
反生命者 - 少し変更しました。 (2019年9月23日 9時) (レス) id: 4e8a64dd85 (このIDを非表示/違反報告)
反生命者 - よろしくお願いします。 (2019年6月21日 21時) (レス) id: 4e8a64dd85 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:反生命者 | 作成日時:2019年6月4日 22時

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