【名探偵コナン】…秘密…8【降谷零】

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プルルルル…


電話のコール音と一緒に
自分の心臓の音が耳につく



『…はい、もしもし……』



この一カ月間、何度も何度も
聴きたくて仕方がなかった愛しい声…



「Aさん…、ご無沙汰しています」



心の中で毎日呼んでいた愛しい人の名前…



『透さ……、本当に…？』



電話口からは自分の名前を呼びながら
震えている声がする



(あぁ…また泣かせてしまったな…)



今すぐにでもあの日に戻って
赤井と言い合いをした自分を殴ってやりたい



「Aさん…
貴女を傷付けてしまってすみません
もっと早くに謝罪をすべきだったのに
僕が弱いばかりに貴女を何度も
泣かせてしまった…」



Aは嗚咽を漏らしながら
泣いていた

そしてそれが聞こえるたびに
安室は心臓を握りつぶされたような
罪悪感に苛まれた


グスグスと鼻を鳴らしながら



『…謝るくらいなら
今すぐに会いに来て下さい』



小さな声で懇願するように
そう言ってきた




「わかりました…
では、今から向かいます」




安室も会いたいのだ
毎日毎日ずっと会いたいのを我慢していた



(Aさん…！)



安室は電話を切ると
すぐに着替えを済ませ通りに出て
タクシーを拾い
Aの家へと急いだのだった









Aは安室の電話を受けてから
ずっと泣いていた


携帯の画面に安室の名前を見たときは
この一カ月間待ち焦がれた分
夢ではないかと動けなくなった


だが、電話から聴こえてきたのは
間違えなくずっと待っていた愛しい人の声…



(透さん…、早く会いたい…)



涙は安室への想いの分だろうか
次から次に溢れては止まることを知らない


Aは電話が切られてからも
その場から動けずに
ただ幼い少女のように蹲って
泣き続けたのだった









オートロックを解除し
ドアを開けて足音を立てながら
その人はAの元へとやって来た


そして…




「Aさん、すみません…
貴女をこんなにも泣かせてしまって…」




蹲っていたAを
安室は後ろから抱き寄せる





「貴女が許してくれるなら
僕はどんなことでもやりますから…」




安室の声は震えて
腕はAが少し痛いくらいに力が入っている





(本当に来てくれた…)





懐かしい香りの中にちょっとだけ
お酒の匂いがして…

サラサラの髪の毛が頬を擽る


(あぁ…透さんだ…)


大好きな温もりを感じ
Aは安室の手を握ったのだった

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