マイヒーロー ページ34
あと少しで勝てるハズだ。どんなにたくさんのヒーローが来たって、全部俺が壊すんだ。あれは雄英のガキどもか？黒霧を使ってここに来たのか。
雄英なら、アヤトくんも来てるな。どこにいるんだ？どこに…。
「アヤトくんはどこだ」
どこを探しても見当たらない。サーチを使って確かめるが、ここにはいない。じゃあどこに…。
「！！！」
あそこの瓦礫か！！光が弱い、死にかけてる。今緑谷から離れればおそらく勝算はなくなる。全速力で引き剥がせばその後戦える力もなくなる。よそ見をしたから殴られた。再生もあまり追いつかない。ここで緑谷を始末しないと。まだ何も壊せてない。
…それがなんだ。
アヤトくんがあのビルにグチャグチャにされるより嫌なことなんてないだろう。連合のやつらはやりたいこと、好きなことをしてきた。それで死ぬなら本望だろう。でもアヤトくんはまだ何にもできてない。
だから死なれちゃ困る。
「っ！！？待て死柄木！！」
「ッ邪魔だヒーロー！！！」
やっと先生から体を奪い返せたのに。俺はヒーローじゃなくてなんでもないあの子のところへ向かっている。
すぐに助けるからね。すぐに手を握るからね。
俺がアヤトくんを救うんだ。
崩れ落ちるビル。その下で人影が二つ。一つはアヤトくん。もう一つは瓦礫に気づいて逃げ出したヴィラン。
「アヤトくんッ！！！」
「…死柄木さんだ」
俺は猛スピードで地面スレスレを飛んで、アヤトくんを掬い上げる。このまま遠くまで飛んで安全なところへ行こう。彼を壊さないようにギュッと抱きしめる。
「っ！！」
ダメだった。結局2人はビルの下敷きになった。幸い上手いこと隙間ができてぺちゃんこになるのは免れたが、もう動けない。
早くここから出してあげたいのに、さっきので力を使い切った。ボロボロの体を無理に繋ぎ合わせてあれほど動けば無理ない。
暗い瓦礫の下、俺は地面に倒れる。すぐにアヤトくんが頭を支えてくれる。
「死柄木さん！！」
「…アヤトくん、やっと会えた」
「…ごめんなさい、死柄木さん」
今にも泣きそうなのに、一向に涙は出ない。泣くより悲しい酷い顔だ。なんでそんなに苦しそうなんだ。君は何も悪くないじゃないか。何故悲しそうなの。泣かないでよ。もう大丈夫だから。
「そんな顔させたかったんじゃなかったのに…ごめんね」
彼は俺の顔を覗き込むようにして見下ろす。涙が溢れて俺の顔に落ちる、ことはない。いつまでも涙無しで泣いているようだった。
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鞘駄(プロフ) - えとちゃんさん» コメントありがとうございます！そう言ってもらえて嬉しいです。頑張ります！！ (9月9日 19時) (
レス) id: d21a21d4c8 (このIDを非表示/違反報告)
えとちゃん(プロフ) - めちゃ好きです…‼︎‼︎更新楽しみにしています！ (9月9日 19時) (レス) @page21 id: e4851da3c5 (このIDを非表示/違反報告)
鞘駄(プロフ) - 蘭さん» コメントありがとうございます！出来るだけ重くならないように努めていますが難しいです…。更なるポップを目指します！ (8月4日 23時) (レス) id: d21a21d4c8 (このIDを非表示/違反報告)
蘭 - うわぁ色々と凄い辛いけどどタイプです、 (8月4日 20時) (レス) @page13 id: b34786daa2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鞘駄 | 作成日時：2024年6月9日 9時
