上の空 ページ6
切「なぁ彩人！！」
「…。」
切「昨日のテンションどこ行った！？」
次の授業はヒーロー基礎学。聞きたくないし出たくないのでサボろうか検討中だ。昨日はあの人に思わぬ形で会えたので嬉しさと興奮で眠れなかった。おかげで寝不足。心なしか頭痛もする。
あの人は何が目的だったんだろう。俺に会いに来た訳ではなさそうだよな。レポーター達が入ってきて立ってことはなんとかセキュリティがどうのこうのしたっぽい。
しかし、ホントにあの人はかっこいいな。かっこいいって表現が合ってるかは分からないが、そこらのヒーローよりそれなりに。とにかくあの目に引き込まれてしまう。
個性上他人の目をよく見るので、視線だけでもなんとなく何を考えているのか分かる。俺自身に向けられた視線は今まで無かった。ヒーローヒーロー鳴いてるだけで偽善者は俺を見ない。
だけどあの人は違う。あの人は…
相「おい。色取。授業中。」
「あー…スミマセン」
どうやら予鈴はとっくに鳴っていて相澤先生は寝袋を畳んでいたらしい。俺が頬杖をついて悶々してる間に授業開始のチャイムは流れていたようだ。
相「今回は3人体制で見ることになった」
隣の隣の席の切島は俺に目配せをしてきた。一体何を言いたいのか純粋に気になる。まず何で俺に構うんだよ。ヒーローを見て憧れてすくすく育ちました！みたいなこいつがなんで俺みたいな根暗しいたけに寄ってくるんだ。生息地域も種族も真逆なんだよ。
あー、もうよくわかんねえ。ニンゲンカンケークソ喰らえだ。
「はぁあ。」
色ペンなんかが散らばった机に突っ伏す。もはやこの行動がルーティン化してきている。顔面に密着する手指をにぎにぎ動かすしていると、ドン、と背中に強い衝撃。
切「なーにため息ついてんだ？ほら行こうぜ！」
どうやら切島が背中を叩いたらしい。おかげで鼻をぶつけだ。ジンジンと痛む場所を押さえながらきく。
「どこに」
ガッチリ掴まれた右腕を引く手が止まる。
切「お前聞いてなかったのかよ！？」
「怒られてもなぁ。」
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作者名：鞘駄律機 | 作成日時：2021年8月26日 14時
