雄英脱出【死柄木弔】 (ページ41)

今日:57 hit、昨日:114 hit、合計:101,712 hit

AKARUI MIRAI ページ41

「ちゅ〜〜！！！！」

　「うぎぃ」

クリアした感動に浸る間もなく保健室に連れてこられた。俺も障子も埃で汚れてるだけで大した怪我はしてなかった。

弾丸の掠ったところをリカバリー婆さんにほっぺにちゅーで治してもらった。なんとか平静を保ったがギリギリだった。

そして障子の膜は治癒する前に完璧に再生していた。切り取った盾はロボに回収されてどっか行った。自分で作っといて言うのもアレだけど、拾ってどうするんだろう。

ちゅーの感覚が残る頬を擦りながら言う。

　「さっきは急に飛び出してごめんね。」

「終わったことだ。」

　「なんで俺のとこに来たの？」

「1人だと寂しいだろう？」

障子は少し笑った。マスクでわかりづらい表情は俺を元気づけるために生まれたものだった。先ほどとは打って変わって居心地が良い。

保健室のベットには何人か横になっていて、みんな寝ている。いつもはしんとしているこの部屋に人の気配を感じ、安心する俺がいた。

____
______

「みんな…土産話っびぐ、楽しみにしてるっがら」

どうやら実技試験をクリアできなかった奴がいるらしい。切島がそうだ。お葬式みたいな雰囲気を遠くから眺めてた。

ぼんやりしてたら足元に峰田が寄ってきた。ニヤニヤ気色悪い笑顔を俺に向けてくる。蹴飛ばしてやろうか。

「オメェ切島が補習で来れなかったらボッチ確定だな！」

　「何だそれ。」

「だって色取、いつも切島にべったりじゃねえかよ。なぁ！」

近くにいた麗日、蛙吹、轟までも頷く。そんなつもり全然ない…とは言い切れないな。実は俺切島がいなかったらガチのぼっちだったのか…？

　「まぁ、否定しないでおくよ」

「彩人！！お前ってやつは…！！」

　「やっぱ違ぇわ。誰だよコイツ。」

「彩人おおお！！！」

くるりと切島に背を向ける。先ほど頷いていた麗日、蛙吹、轟はとても平和な顔をしていた。

「色取くんなんか変わったね！成長だ！」

「雰囲気が明るくなったわよね。ケロ」

「そうか…？」

俺が根暗だって轟は思ってるらしい。「胡散臭さか…？」なんて真面目に呟くもんだから思わず笑った。クラスメイト温かさに包まれて凝り固まった表情筋がほぐれたのかもしれない。知らないけど。

　「はは、なんだよそれ、ふ」

「あ、彩人が笑った！！！」

ホームルームでも林間合宿はみんなで行くって言われて切島が来るって分かったし。

高校生活が明るく思えてた日だった。