99%の悪知恵 ページ39
紙面上の戦いはあっという間に終わり、実技試験の時間。4月からどんどんグレードアップさたコスチュームを身に纏い、お守りのようにアイスピックを持って集合場所に向かった。
着くと沢山のヒーローがいてちょっと吐き気がした。コスチュームの内側に仕込まれたナイフや閃光弾、もちろんアイスピックも。それらのカタチを布越しに感じながら遠くを見つめた。
「色取、よろしくな。」
「…うん。タコちゃん」
「タコではないな。」
「タコちゃん…。」
いつのまにかせんせーの説明は終わっていて、俺のことをわざわざ迎えにきたのは普段あんまり関わりのない障子クン。索敵向きの個性が似てるから選ばれたんだろう。
「相手はスナイプ先生。お互い個性を把握しておこう。連携が肝になってくる。」
「せんせーの個性ってナニ?」
ヒーロー基礎学に顔を出さないせんせー。名前からして遠距離で隠れながら狙い撃ちって感じだろう。俺が視界を操って狙わせないってのが正解だと思うけど、まぁそう簡単にはいかないだろうな。
バスに揺られ俺たちの会場に向かった。
沢山の柱が立ってて入り組んでる。暗いしなんか土埃すごい。目に悪いなこれ。んで、これの影に隠れながらなんとかゴールに行かなきゃねってこった。
聞かされた話じゃ、障子の個性は複製腕、目とか耳をコピーできる。これで隠れてるせんせーを見つけて位置を把握した俺がバチっと奪っちゃうってわけ。視界を。
とりあえず適当に選んだ柱の下で待機。知っている全ての情報を集結させても、なんだかこのテストは余裕に思えた。だから余計に怖い。雄英がこんな甘いわけないじゃないか。
「なぁ、せんせーと俺らの相性って俺らに有利じゃない?」
「まぁ確かにそうだ…。」
「じゃあなんで…。っ!!!?」
スタートの声とブザーが響く。と同時に、ビュン。と右頬を何かが掠めた。撃たれた?血ぃ出てるし。弾丸が来たであろう方向を背に柱で身を守る。
容赦なく弾丸の雨は降り注ぐ。思ってた数十倍土砂降りかも。本当に本当にこのテストを甘くみてたっぽいな。フラグ建てすぎた。障子の腕にすっぽり包まれつつ状況整理。
「は…?痛。」
「大丈夫か?」
「この状況は大丈夫じゃないね」
細い柱に障子の触腕は収まりきらず時々弾丸が掠っている。
「タコちゃん痛くないの?」
「複製ならまあまあだな。」
「へぇー。いいねぇ!」
障子を見上げてにっこり笑う。閃いた。
「嫌な予感がしてきた。」
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作者名:鞘駄律機 | 作成日時:2021年8月26日 14時