はい(いいえ) ページ35
「彼女は連続失血事件の犯人です。」
「別に言わなくていいんですよ。」
黒いモヤモヤはすいませんと律儀に謝って再びグラス磨きに精を出した。
「ねぇアヤトくん!その制服って…」
「雄英だろ。なんでヒーロー志望クンがいんだよ」
ツギハギはバカにしたように言う。俺は死柄木さんに呼ばれたから来ただけだ。セーラー服は頬を手で包みながら口を開く。
「ってことはヒーローになるんですか!?ヒーロー嫌いです」
「俺も嫌い。お前のことも。」
「酷いです!!」
死柄木さんは呆れたように俺に言う。この騒がしさに苛立っているようだった。
「今日アヤトくんを連れてきたのはコイツらを紹介するためなんだ。どう?アヤトくん。」
「どうと言われても。」
死柄木さんの意図がわからない。興味がないのでなんとも言えない。強いて言うならキモくて嫌い。
「コイツらは一応敵連合の新メンバー。上手くやれそう?ってことなんだけど。」
「は?」
待ってくれ。死柄木さんは俺を仲間に入れようとしてる?敵連合なんてチープな名の下、俺を敵にしようってこと?前の俺なら喜んで「ワン」と鳴いただろうけど今は違う。
「期末テストがあるんで…」
表情は見えなかったけど、つまらなさそうに死柄木さんは携帯ゲームに集中し始めた。別に申し訳ないとは思わない。死柄木さんは好きだけど、死柄木さんのためにやりたいことを曲げるのは嫌だった。人に従いたくない。
セーラー服は叫ぶ。
「ええ!!ヒーロー嫌いなのにヒーロー科のテスト頑張るんですか?理解できません!!ヒーロー嫌いなのに!!?」
確かにヒーローは嫌いだけど。学校は最近嫌いじゃない。ヒーロー志望の前に俺は高校生で、林間合宿だって行きたい。このセーラー服に比べたら俺はとっても普通だ。
「勉強しなきゃいけないから。机借りていいですか」
「どうぞ。」
「家帰んないんですか?」
俺の向かいにセーラー服は座った。両手で頬杖をついて俺の教科書を眺めている。
「家が一番嫌いだから。」
「ふーん。私にもべんきょー教えてよアヤトくん」
「なんかくれんならいいよ。」
「見返りですよそれ、ステ様に怒られちゃうぅ!」
ツギハギは向こうのソファーで寝ていて、死柄木さんはカウンターでゲーム。こんな放課後が敵で構成されてるとは到底思えなかった。
「試験は何が出るんですか?」
「んー5教科と実技試験」
「じゃあ人の殺し方を教えてあげる!!」
「はぁ?」
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作者名:鞘駄律機 | 作成日時:2021年8月26日 14時