雄英脱出【死柄木弔】 (ページ32)

今日:35 hit、昨日:36 hit、合計:101,867 hit

ラストハチニィページ32

「おはようアイジャック。バクゴー。今日もタイトに行くぞ」

　「いー」
「分かってんだよ。」

やっと1週間か…。ばくごーもそんな顔してる。日を追うごとに俺たちのデニム男への当たりは強くなった。コイツあんま怒んないから。むしろ嬉しそうなのが気持ち悪い。

「最終日だというのに何という態度！！矯正だ！！」

　「えー」
「クソがよ。」

毎日のヘアセットは俺から始まる。俺はすぐ8:2になるから。ばくごーの髪はまじて硬い。でも俺だってすぐ戻る。ばくごーは毛根までのばくごー成分が浸透してるってだけ。

「完成だ」

そういって見せられた鏡には見事に8:2に分けられた俺の髪が映ってた。椅子をばくごーに譲りその背中を眺める。頭をぶるぶるっと振るとせっかくセットした髪は元に戻った。

「君もなかなか厄介だったな。」

　「アンタの指名でしょ」

コスチュームからスマホを取り出す。普段は武器とかをいっぱい隠してるところだ。ここ1週間なかなか時間がなくてスマホすら弄れなかった。「勤務中だ」というデニムの声を無視してニュースを見る。

トップニュースの一覧は【ヒーロー殺し逮捕】という字でいっぱいだった。ステインと名乗る敵がどーのこーの。あんまり興味はなかった。スクロールして記事の最後の方を見ると写真が載っていた。

　「ん？」

「どうしたアイジャック」

写真にはUSJで死柄木さんが連れていた脳無が見切れていた。ヒーロー殺しと死柄木さんは関わりがあるのか？前の俺ならこの記事を見て死柄木さんもヒーロー殺しも消し去りたくてしょうがなかっただろう。

でも俺は成長してる。バカみたいな嫉妬はしない。職場体験が終わったらすぐに会いに行こう。それでまたアイスピックを盗んであのクビに向けよう。感情なんてないさ。動くだけだ。嫉妬じゃないもん。

「バクゴーは鋼のようだし君は水のようだ。いくらやっても強制されない。」

デニムは笑う。そして大きな窓を開け放った。遥か下に見える歩道。そしてデニムは俺たちを小脇に抱えた。コイツまさか…。

「これだけは忘れるな。ジーンズは最高だ。」

時計の針が12時ちょうどになった時、デニムは俺たちを窓からポイと投げた。信じられねえ。下からの風を受けたコスが捲れるのを抑えばくごーにしがみつく。

　「俺飛べねえから」

「落下して死ね！！！」

そう言いながらもばくごーは俺の首根っこを掴んでくれた。なんとか着地して最上階から見下ろすデニムに中指を立てて走って駅に向かった。