雄英脱出【死柄木弔】 (ページ20)

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魔性ページ20

ゴールした後も切島は俺を担ぎ続けてしばらくそのままだった。15分後には次の競技が始まるらしい。それまでに涙が止まるといいけど。

　「もう大丈夫だがら降ろせよ」

「あー？競技中言ったろ、覚えてろよってな！」

俺が目が見えてないのをいいことに切島はぐるぐる回った。がっしり腰を支えられているが足と頭の浮遊感が気持ち悪い。切島はでかい声で笑っていたが、途中で「目ぇ回った…」とか言って止まった。

涙もだいぶおさまり、担がれたままでだらんと力を抜く。まだ初めなのにもう疲れてる。それを感じたように切島は俺をゆっくり地面に置いた。

「これでおあいこだ！」

　「ふーん」

「興味！！！！」

2回戦開始のアナウンスがなって、俺は集合場所に向かった。切島もギャイギャイ言いながら着いてきた。

【2回戦目はコレよ！】

「騎馬戦？？」

個人戦じゃないなら目立ちにくいな。あくまで目的は見られること。どうしよ。

【一位に与えられるポイントは、1000万！！！！】

言ってるそばから。でも緑谷と組んだ場合俺が霞むな。超パワーなんて超超わかりやすい個性に他人からは見えない視界を操る個性。派手さなんて一目瞭然。なら1000万狙って下剋上ってか？

「彩人、俺と組むか？？」

　「んー、ヤダ」

「ひっでえ！！！」

切島は他の奴らのトコにとぼとぼ帰ってった。断ったのは目立たなそうなのと個性がうまく合わなそうだったから。それに仲良しこよし見たいでちょっとヤダった。きもい。

「なら俺と組まない？」

　「…、」

誰だコイツ。紫頭。怪しい。俺は知らない奴はとことん警戒するタチだ。死柄木さんは特別。よく人を見てきたから分かる。コイツ俺を使おうとしてる。

そんな時は俺お得意のいい子ちゃんモード。自然な笑顔を浮かべてギリ目は合わせない。よくわからんけど最近はちょっと首を傾げて猫かぶるとだいたいの人間は負けてくれる。黙って首傾けてあのばくごー君にジュース奢ってもらったのは俺だ。

「返事は…？俺知り合いいなくって…、」

そんなの無視して少しずつ相手に近寄って最後にしっかりと目を合わせる。困り顔にしてやるともっと効果テキ！さっき泣いてたから目が潤んでよりステキ！

とうとう紫は根負けした。

「はー…全然かかんないじゃん。アンタ魔性って言われるだろ」

　「俺そんなの知らないや。」

「あっそ、俺は心操人使。個性洗脳。俺と騎馬組んでクダサイ」

　「うん。いいよ」

二つ返事でお仕舞い。