第五十話「邪魔」 ページ8
．
クラピカの小指から現れた鎖は
まだウボォーギンの心臓に届いていない。
2人しかいない荒野が静寂に包まれる。
その様子に異変を感じたのか、
目を閉じていたウボォーギンが目を開く。
すると。
手で頭を強く押さえ。どこか、
苦しげな表情をしているクラピカが目に入った。
クラピカは、何かを小さく呟いている。
「…私は…こいつを…」
ウボォーギンの頭には疑問が浮かんでいた。
なぜ。自分を鎖で捕らえている、
目の前のコイツは…自分を殺さないのか。
いや。先程まで、コイツは殺意満々だった。
なのに今は殺す事に動揺の色が見える。
鎖で捕らわれ、絶の状態になり。
その上。身体中を殴られ骨を折られ。
もうまともに、動けないウボォーギンは、
ここから戦う事も逃げる事も出来ず。
目の前で頭を押さえている男を、
ただ、見ている事しかできなかった。
＊＊＊
Aの声が。言葉が。頭に響く。
『殺したって…虚しくなるだけだよ』
例え…虚しくなろうが。
例え…どんな最後を迎えようが。
そして、そこに何も、無かったとしても。
私は、殺されてしまった仲間のために戦うと。
そう。心に決めたんだ。
仲間の敵を、とる。それだけだ。
クラピカは、鎖のついた手に力を込める。
そして今度こそ。
ウボォーギンの心臓に、
「律する小指の鎖」を差し込んだ。
「うぅ」とウボォーギンが小さく声を上げる。
「最後のチャンスだ。貴様の心臓に、
戒めの鎖を差し込んだ」
クラピカは赤く光った眼で、続けて言う。
「私が定めた法を破れば即座に鎖が発動し
貴様の心臓を握り潰す」
これでいいんだ。
これで、答えなければ、コイツは死ぬ。
そう思って、クラピカが口を開こうとした。
その時。
『結局。最後には1人になってしまう』
あの時のAの掠れた声が
今まで以上に頭の中に深く強く響いてきた。
クラピカは、ウボォーギンの心臓に鎖を、
差し込んだまま固まってしまった。
いや。Aの言葉に、動けなくなった。
私は、今さら…何を恐れている。
1人になる事か？孤独になる事か？
何故だ。私は、ずっと1人だったじゃないか。
誰もいない場所へ帰り。
誰もいない場所で生活をして。
1人で、蜘蛛を探し。
そして、やっと見つけたんだ。
やっと仲間の敵をとれる。
なのに。蜘蛛を。
目の前にいるコイツを。
…私は。殺せないというのか。
頼む。A。もうこれ以上。
私の邪魔をしないでくれ。
お前の声は、よく響くんだ。
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じゅな(プロフ) - ずっと待ってます！ゆっくりでもいいので更新してくださると嬉しいです！ (4月18日 17時) (
レス) id: 63d6ee7837 (このIDを非表示/違反報告)
あ3 - 更新楽しみにしてます､､､､めちゃ好きです (2022年11月1日 16時) (レス) id: b2be5c4b6e (このIDを非表示/違反報告)
キエラ(プロフ) - 久しぶりに見に来たら更新されてて泣きました(´；ω；｀)これからも更新楽しみにしてます...！ (2021年12月16日 20時) (レス) @page44 id: cdb417a741 (このIDを非表示/違反報告)
mikan(プロフ) - ナルアさん» ナルアさん…！本当にお久しぶりです！ずっと待たせてしまって本当にごめんなさい ; ; いつもコメントしてくださって本当に支えられています…！そう言っていただけて本当に嬉しいです！ずっと待ってくださっていて本当にありがとうございます！これから頑張ります！ (2021年10月19日 22時) (レス) id: 9f58bcb1e6 (このIDを非表示/違反報告)
mikan(プロフ) - 名無し76544号さん» 優しいお言葉に本当に心が暖かくなって小説も書こうって思わせていただけます！本当にありがとうございます！少しでも幸せが訪れますようにっ！最近寒くなってきましたので、お体に気をつけてくださいね！更新頑張っていきますね！ (2021年10月19日 22時) (レス) id: 9f58bcb1e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mikan | 作成日時：2020年10月4日 13時
