【ハリーポッター】無気力系女子 (ページ12)

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１１話「かくれんぼ」ページ12

自分が見つけた隠れ場所はクローゼットの中。
リビングにも隠れる場所はあったが未知のものから逃げたい気持ちが強く、気が付けば自分の部屋に向かっていた。

なるべく綺麗に戸を閉めて、人が居ないようにすれば明かりも見えないその場所で息を殺す。
音も辛うじて聞こえる状況で自分の呼吸音は邪魔でしかない。

ｶﾞﾀﾝｯ！！

遠くから聞こえる鈍い音。
隠れている自分でも聞こえるのであれば、元はかなり大きな音のはず。

怖い、こわい。
クローゼットの中は何もないため自分が着ている服をギュッと握りしめる。
恐怖心を和らげようとしても震える体が止まることはない。そして始めの音から少しづつ増える物音。

「ぉーぃ！」

『！』

次に男の人の声が聞こえた。
一言だけだが聞いた事がない声であるのは確かだ。ここに訪れた人と違う声。
そして音とその声も部屋に近付いてくるのが分かり、今よりも強い力で服を握りしめる。

ｶﾞﾁｬｯ、と部屋の扉が開く音が聞こえた。

来た。
心臓の音が頭の中で鳴り響く。足音と声は1人だけ。
今飛び出せば捕まるかもしれない。けど、見つかればどうなるのか。

恐怖からだろうか、お腹周りや腕といった傷が痛み始める。

ここに来る人は想太さん以外、私に罰を与えていった。
罰は人によって変わるが基本は傷になるものが多く、治る傷より新しくできる傷が体の至る所にある。
そしてこの暗い状況では悪い方向に、嫌な記憶が頭に流れていく。

痛いのはいやだ
見つけないで

お願い、お願い……！！！

・

ｷｨｨｨｨ……

目の前に少しづつ光が入るのが分かる。
ダメ、だめ。こないで。

隅の方でこれ以上進むことが出来ないのに身を縮めて隠れようとした。そんなのもう無理なのに。
ゆっくりと開いていく戸は途中で止まることはなく、クローゼットの中があらわになった。

『……ｯ。』

「おぉ！こんな所におったか。
あまりに静かだったから留守かと……？」

声を掛けてきた人は本当に1度も見た事がない。
ここまでの大男で英語で会話をしてきている状況に安心が出来なかった。

その人は笑顔で明るく話しかけてきてくれたが、私と目が合うと笑顔が困惑した顔に変わっていく。
そして目は私の顔から全身を見れば今度は憤慨した顔に変わっていったのだ。