【ハリーポッター】無気力系女子 (ページ11)

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１０話「未知」ページ11

『することないな…。』

起きた後の自分にできることはいつも決まっている。
新聞を読んで理解出来なくても頭に入れることに時間を使う。
紙があれば絵を描いたり、新聞にある字を真似て書いたりと家の中でできることをしている。

けれどそれらを続けるには限度があった。

ゴロンッと床に寝転がり、天井を見上げるのも今日で何回目だろう。
手元にある本も内容を覚えるぐらい読み返した。
ゲームやネット、携帯電話もテレビもない。外の風景を見るのも飽きてしまったし。

……自分は生きている意味があるのだろうか。
出れる未来も来ないでこのままずっと1人生きて死ぬんだろうか。
でも、それはそれでいいと思う。
こんな化け物は生きていて意味が無いのだから。

………あれ？

"死んでしまえばいいんだ。"

そうだ、なんで気付かなかったんだろう。
このことに早く気付いていれば私はこれ以上誰にも迷惑をかけずにすむ！

そう思うと行動は早かった。
ベランダに向かって走り出し、窓を開ければ外の風が自分の背中を押してくれる。

あぁ、心が軽い。
何階にあるか分からない部屋だがこの高さなら十分だ。

今から自分が落ちる下の様子を見つつ、体を乗り出そうと柵に手をかけた。

『……？？』

ふと、広大な街並みの向こうからキラリと輝くものが見える。それは何度も見たこの風景で初めて見た輝き。
その光が眩しくて目を少し細めながら様子を見る。

光が近付いてくる事に何処からかエンジン音も聞こえ始め、なんだか恐怖が湧いてきた。
光も音も大きくなっていき、それは私の方へ向かってきているのが分かる。

ようやくそこで何が近付いてきてるのか判断できた。

『人？？……バイク？？？？』

待って、よく分からない。怖い。
見間違いであって欲しいがこちらに近付いてくる未知のものから逃げるように家の中に避難する。
あれだけ死にたいと思っていた気持ちはどこへやら

今は自分が隠れる場所を探して家の中をアタフタと走り回っている。

ここだ、ここに隠れよう。
決めた場所に隠れる時にはもすぐそこまで音は来ていた。