運命 ページ39
____これも、全て運命なんだ。
誰かの、然し身近で頭に馴染んでいく、誰かの声が耳に入った。
____此処で君が死ぬのも運命。
誰かの声は、山田蓮に向かって囁き続ける。
____此処で、生きるのも運命。
誰かは、何かを気付かせようとしてくる。
______君が、殺したいと願うなら、僕は喜んで其れを叶えよう。
誰かは、蓮に“運命”を悟す。
『____なんで……』
____僕は、君を____
****
意識が浮上し、一番最初に脳に信号として送られてくるのは、吐き気を覚えるような激臭だった。
疲れ切り、動こうとしない瞼を無理矢理持ち上げる。
目の前には茶色い大きな扉。
体をゆっくりと持ち上げれば、頬からべりっと、何かが剥がれるような音が聞こえた。
体を起こし、痛みを感じない頬に手を当てる。
其処に付いていたのは。
『____血?』
見慣れて、何も思わなくなっていた血だった。
誰の血なのだろうか。
恐らく自分のでは無い。
ならば、と、其処で思い出した。
____アリスを、殺した事。
床を見た。
其処に血は微かに付いている程度で、然し己の服にはべったりと付いていた。
それも、まるで自分より小さい少女を殺した時に飛び散る程の位置に。
『終わったのか』
最期に感謝を述べ、死んでいったアリスの表情が脳裏に浮かび、荒々しく前髪を搔き上げる。
もう一度あたりを見回しても、誰もいない。
不思議の国の住人達は死んだ。
ならば、チェシャー猫達も同じ様に死んだのだろう。
__《頑張って、__を殺して》
アリスが言った言葉。
其れを忘れない様に口の中で反芻して、目の前の扉に手をかける。
この先には【信者】の死体しかなかった。
だが此処以外進める所も無いので、恐らく此処に何かがあるのだろう。
扉を力一杯押し、押し寄せて来るはずの激臭に、息を止め__
.
「____ようこそ、いらっしゃいまセ。
待ってたよ__《シシャ》さン?」
.
目の前には、幾多にも重なった【信者】の死体。
そして、ステンドガラスから着色された光が差し込み、それに照らされるアルビノの少年。
____アリスと殺すと誓った、偽物の“アリス”がいた。
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Cabby - 太宰さんカッコいいですよね!めっちゃ好きです (2019年10月30日 22時) (レス) id: b937c10b42 (このIDを非表示/違反報告)
akane_朱音 - え、太宰さんかっこよすぎない…?好き() (2019年10月29日 21時) (レス) id: 307f7ba1f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鸞宮子 瑩 | 作成日時:2019年10月29日 19時