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途中下車した駅の名前は“ハートの国の裁判” ページ23

不思議の国(ワンダーランド)?』









《ああ、不思議の国さ》









《とってもとっても不思議で可笑しい国》









《お客さんには、ハートの国の裁判に行ってもらおう》









《____ようこそ、不思議の国(ワンダーランド)の、謎解き遊戯(ゲェム)へ》









ふう。





誰かが息を吐いた音と共に目の前が青紫色の煙で覆われた。

鼻腔を満たす煙草の臭い。

恐らく、アオムシが吐いた煙草の煙であろう。

ピリピリとするその臭いに顔を顰め、鼻と口を手で覆った。

意識が薄れて行く。









《ご機嫌麗しゅう、可愛らしいお客様?
____ハートの女王の裁判へようこそ》









最後に、凛とした女性の声が聞こえた。








****









「____起きたかい?
新しい死刑囚さん」









湿った黴の臭い、其れに鼻に着く刺激臭が意識の覚醒を促し、嗄れた声をかけてきた主を見るのを助長する。

半開きの目を擦りながら身を起こし、目の前にある主と思しき白と緑色の塊に目をやった。

其れを見た瞬間、息を飲んだ。

余りにも、この世のものとは思えない程醜い容姿をしていたからだ。


先ず、特徴的な髪飾りをつけた頭は額の部分が禿げ上がっていて、鼻には皺がより、薄く化粧をしているようだが、其れすらもその醜さを助長していた。

胸元の大きく開いたドレスを身に纏い、萎んだ乳房を微かに覗かせたその女性は、右手に小さな蕾の状態の花を持っていた。


目の前の醜女は、尖った顎を皺くちゃの手で撫でながら、嗄れた声で蓮に語りかけた。









「アンタ、何の罪を犯したんだい?
どうせあの女王の事さ、大した事はしていないんだろう。

何をやったんだい?
女王を附子とでも罵ったかい?
女王の目の前で唾を吐いた?
ああ、其れかあの憎たらしい邪魔っけな真っ赤なドレスを踏んじまったのかい?
それとも、女王の耳を殴っちまったかい?

それなら傑作さね。
アタシもあの苛立つ女王の耳を殴っちまってね、死刑囚さ。
相変わらずあの女王は単細胞なままだったさな」









よく回る舌だ、と思い乍、「俺は何もやってないよ」と顔を背けて行った。

会話を終わらせるためにそうしたのだが、醜女はそれが気に入らなかったようで、尖った顎を蓮の肩に食い込ませながら聞いてきた。









「アンタ、名前は何だい?
アタシは公爵夫人と呼ばれているよ、そう呼ぶさね」









生臭い公爵夫人の息に顔を顰めながら、「蓮だ」と名乗り離れた。

帽子屋からの汚い手紙→←目的地“エセ教祖”、乗り換えの駅は“不思議の国”


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Cabby - 太宰さんカッコいいですよね!めっちゃ好きです (2019年10月30日 22時) (レス) id: b937c10b42 (このIDを非表示/違反報告)
akane_朱音 - え、太宰さんかっこよすぎない…?好き() (2019年10月29日 21時) (レス) id: 307f7ba1f6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鸞宮子 瑩 | 作成日時:2019年10月29日 19時

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