７日間の罠【あほの坂田。】

直球ど真ん中 ページ4

.


「いっこ聞いていい？」



しょうもない、いや大変重大なことで悩む私をよそに、いまだにそこに居た彼が口を開いた




『1つと言わず2つでも3つでも！』

「いやいっこでええわ」



珍しいこともあるもんだ


いつもうざいくらい私が絡んでるから、彼から話しかけられたことなんて一度も無かったのに



一生に二度あるか分からないこの奇跡を噛み締めて、その質問を待っていると


いつも通りの声色で「あのさあ」と切り出した彼が、次にとんでもないことを口にした





「―――君、おれのこと好きなん？」

『………………はい！？いや、も、もちろん！！』

「なんで1回びっくりしてんねん絶対うそやん」

『や、唐突にどうされたのかと…』



本当にびっくりした、腰抜けるかと思った


ど直球すぎる



「だって、おれが来たら目キラッキラさせてるし、めっちゃかっこいいかっこいい言うてくるし」

『そりゃもちろん、かっこいいですから当然です』

「だから、もし好きなんやったらおれも態度改めやなあかんなって思って」

『……改めるとは？』

「普通に傷つかん？結構冷たい態度とってるでおれ」



確かに、言われてみれば


スマートにありがとうなんて言われたこと無いし、なんならいつも流されてるし



でも、あれ？


私別に、傷ついてなくない…？



『………お兄さん』

「うん」

『…私、お兄さんのこと好きじゃないみたいです……ごめんなさい！！！』

「なんでおれが振られたみたいになってんねん！」



考えたことも無かった


そもそも、私は初対面で彼に恋をしたから1年間無駄に絡み続けてきたのか


否、違うじゃないか



ええ、違うのか


それはそれで悲しいというか



なんだこれ、よく分かんないや


.

第一歩→←ルーティーン

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す