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前に進む為。 ページ41

角を曲がって







汐恩の姿が見えなくなるまで







止まらずに







一度も振り向かずに









ただただ前を向いて歩いた









見えなくなる所まで行くと









一気に身体の力が抜けてその場で泣き崩れた









帰り道は









驚くほど寂しくて









ただ、ひたすら泣いて









ゆっくり、ゆっくり歩いて帰った









その日から当分の間は毎日のように泣いていた。









もう一度話したい。会いたい。別れたくない。





というメッセージが汐恩から何度も届いた









でも私は









そのメッセージに返信をすることは無かった









汐恩と離れることは、想像以上に辛くて







食事も喉を通らなくなって、







周りの友達やバイト仲間にも驚かれるくらい痩せた









離れてから気づいた汐恩の存在の大きさ









心にポッカリ大きな大きな穴が空いてしまった感覚。









寂しくて、悲しくて、どうしようもなかった









でも同時に









これで、汐恩の邪魔をせずにいられる




ただ応援する事だけできるこの状況に





安心している自分もいた。









何も気にせずに心の赴くまま生きられたらどんなに楽なんだろうか








どんなに幸せなんだろうか









そんなことばかり考えて


また汐恩に会いたくなる









大学も無事卒業し



バイトも最後のシフトを終えて



時間に余裕が出来たこのタイミングで
都内のマンションに引っ越すことにした









正直、今のマンションからでも充分通える距離だ









でも、









この部屋は

あまりにも思い出がありすぎるから。









この部屋にいると、ずっと前に進めない気がした









それに。









汐恩が前に進める為でもあった









たまに、
汐恩がマンションの前で私を待ってくれている事も




…知ってるから。









別れた事が正解だったかは分からない









でも
汐恩の夢の邪魔はこれ以上したくなかった









一方的に別れ話を切り出して


汐恩から離れてしまってごめんね









汐恩と出逢えて、
幸せでした。









汐恩とのたくさんの想い出を




胸にしまって









私は前に、進む。

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設定タグ:JO1 , 鶴房汐恩   
作品ジャンル:恋愛
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luvchim(プロフ) - 初めまして。結末を知っていても、何度読んでも涙で前に進めません。とっても良いお話をありがとうございます。何度も読み直してます。大好きなお話の一つになりました。ありがとうございます!! (2021年1月19日 16時) (レス) id: 1634567e36 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:s.a.o | 作成日時:2020年4月2日 2時

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