勘違い35個 ページ41
『…あのぉ鬼さん?なんですぐ食べないんです?いや食べられたいわけじゃないんですけどぉ…』
純粋な疑問を口に出す。見たところこの鬼は割と理性的な感じがするからムカついたらすぐ殺すみたいなタイプじゃないだろう。
「小生の名は響凱、鬼さんではない。この屋敷には小生の食事を邪魔する他の鬼が居るからだ。稀血を食べ始めれば血の匂いを嗅ぎ取って横取りしにくるだろう。そうしたら食事どころではないのだ。」
『あらぁ…それはまた難儀なものですね。ここ貴方のお家でしょう?家主の許可も取らず入ってくるなんて』
まぁ私達もそうなんですけどね。響凱というその鬼はふん、と鼻を鳴らしてどかりと座り込む。
あっ今から他の鬼探して殺すとかじゃないんですね。その隙を見て逃げようと思ったのに。
それを察したのか響凱は「わざわざ探しに行かなくとも稀血は居るだけで鬼を引き寄せる。邪魔者はバラバラにやってくるだろうよ」と言った。
なるほど、バラバラに来させて1体ずつ追い払う作戦ですね。私でも多分そうします。やっぱりこの鬼はなかなかに知能が高い。
『じゃあ鬼が来るまで暇ですね。ん、なんですこの紙は…原稿用紙?』
響凱はその一言に過剰に反応した。でも怒っているという反応の仕方ではない。
特に咎められる訳でもなかったので目を通す。ふぅん…書き出しはとても平凡。
花が散るような儚さも歴戦の猛者がみせるような凄みもない。私の読んできた物語に比べれば天と地程の差がある。
でも私はこの文章が好きだった。その平凡さはこれからを期待させるいい平凡さだ。何にでもなれる可能性を思わせるいい物語。
『いいですね、これ。私は好きですよこの書き出し。作者は誰?1枚しかないんです?』
私がそう言うと響凱はあからさまに嬉しそうな顔をした。もしかしてこれは響凱の作品?
「い、いや…実はそれは小生が綴った物なのだ。だが…出版社などには面白くないと一蹴されてしまって今は屋敷のそこかしこに散り散りになっている。」
この人は生前物書きだったのか。将来性のあるいい物語だとおもうのだけれど…こうなってしまったのが不思議でならないな。
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エナ(プロフ) - 腹黒やばないがツボった (2019年9月15日 12時) (レス) id: 11aae5328b (このIDを非表示/違反報告)
さんまるてぃん(プロフ) - アリアナさん» お返事遅れてすみません!時透くんですね、了解です! (2019年9月4日 15時) (レス) id: c51e84ebb6 (このIDを非表示/違反報告)
アリアナ - もし良ければ番外編とかで時透くんとの絡みがあったらうれしいです。 (2019年9月2日 22時) (レス) id: 99796aaed6 (このIDを非表示/違反報告)
さんまるてぃん(プロフ) - 無気力みかんさん» 乙音ちゃん良いですよね…ツンデレの師として崇めてます (2019年8月27日 20時) (レス) id: c51e84ebb6 (このIDを非表示/違反報告)
無気力みかん(プロフ) - お、乙音ちゃんみたいだ………萌え (2019年8月26日 18時) (レス) id: d571eebd63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さんまるてぃん | 作成日時:2019年8月19日 13時