勘違い25個 ページ28
最初は沢山鬼を倒してあるがままにがむしゃらに頑張っていればいつかは認めてもらえるんだって思っていた。
でも現実はずっと非情で。
いくら鬼を斬ったとしても。いくら頑張ったとしても。
ただ態度が悪い。
ただ身長が低い。
ただフリフリの服を着ている。
ただ兄妹仲がいい。
ただ異国の人間。
ただ普通じゃない。
ただそれだけで、私は入隊してからずっと差別され疎まれ嫌われ続けている。
態度が悪いのは私のせいだろう。直したいとは思っているけど直せてないのだからそれは私のせい。
でも身長が低いのは私のせい?
力が弱いのは私のせい?
兄妹仲がいいのは私のせい?
異国の人間なのは私のせい?
かわいい服を着ているのは私が悪い?
普通じゃないのは、そんなにもいけないこと?
私はそんな当たり前のこと一つとっても言えず、ただ黙ってそれらの罵倒を受け止めてきた。
なんにもないみたいに。なんにも傷ついていないみたいに。
何も反論せず、何も反応せず、余裕ぶった表情をつくりながら堂々と往来を往く。
これが私に出来る精一杯の強がりだった。
善逸くんはそれらの声を聞き取ったようで顔を赤くしたり青くしたりして一通り百面相をすると「ちょぉっとごめんねぇぇ!!?」と言って私の手を取り思いっきり走り出した。
……手を、また、握ってもらえた。
私は彼の手が好き。固くてまめがあって、沢山努力している人の手。そのくせ顔はいつも情けなく崩れていて。
バカみたい。自分でも笑っちゃうくらい私は今彼が好き。なんでかはわからない。
何も言わずとも真意をわかってくれているところが好きなのかもしれない。自分に素直でわかりやすいところが好きなのかもしれない。
こんな状況でも知らない人の振りをするんじゃなくて手を取って一緒に逃げてくれるところが好きなのかもしれない。
あるいは一目惚れだったのかもしれない。自覚はなかったけれども。
私、枕営業なんてしてないの。
鬼を倒したのも実力なの。
別に柱に媚を売ってるわけじゃないの。
初めて、他人に弁明したいと思った。この人にだけは私、誤解されたくないの。
私、この人にだけは。善逸くんにだけは、彼に察して貰うだけじゃなくて、本当のことを自分から言いたいの。
202人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
エナ(プロフ) - 腹黒やばないがツボった (2019年9月15日 12時) (レス) id: 11aae5328b (このIDを非表示/違反報告)
さんまるてぃん(プロフ) - アリアナさん» お返事遅れてすみません!時透くんですね、了解です! (2019年9月4日 15時) (レス) id: c51e84ebb6 (このIDを非表示/違反報告)
アリアナ - もし良ければ番外編とかで時透くんとの絡みがあったらうれしいです。 (2019年9月2日 22時) (レス) id: 99796aaed6 (このIDを非表示/違反報告)
さんまるてぃん(プロフ) - 無気力みかんさん» 乙音ちゃん良いですよね…ツンデレの師として崇めてます (2019年8月27日 20時) (レス) id: c51e84ebb6 (このIDを非表示/違反報告)
無気力みかん(プロフ) - お、乙音ちゃんみたいだ………萌え (2019年8月26日 18時) (レス) id: d571eebd63 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:さんまるてぃん | 作成日時:2019年8月19日 13時