コミュ障の鬼殺隊士は誤解と冷や汗を撒き散らしながら今日も往く。 (ページ16)

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勘違い13個ページ16

チョコミントくんから焼けた魚を受け取り口にする。動きまくったのに何も食べていなかったのでシンプルな魚の旨みが身に染みる。

彼も同じくお腹が減っていたようでフードファイターよろしく魚を頬張っていた。

「そういえばAはどんな呼吸を使うんだ？」

チョコミントくんはなんの脈絡もなくそう尋ねてきた。

『なんなんですかいきなり。君みたいなひよっこに教えても私に得ありませんし〜第一なんで知りたいんですかぁ？』

なんで勿体ぶってるんだろう私。別に呼吸くらい教えてあげてよ心せっまいな！まぁ確かにオリジナリティの高い呼吸だから知らないだろうけどさ

しかし例によって超絶いい子(もしくは超絶天然)の彼は全く気にしたふうもなく喋った。

「いやぁ大した理由も無いんだが…実は水の呼吸以外の呼吸を見たことがなくて。少しは知っといた方が良いかと思ってな！」

『ふぅん…だから知りたい、と。いい心がけですね。まぁ仕方ないので教えてあげま_____』

そこでチョコミントくんも私もピタっと動きをとめた。

……鬼の気配がする。禍々しくて吐き気がする程の悪意に満ちた鬼の気配。

チョコミントくんも鬼が近くに居ることに気づいたらしく顔を顰め、鼻をつまんで刀に手をかけた。彼はとても鼻がいいと調査書にも書いてあったが、そうならば鼻がひん曲がる程の悪臭を感じていることだろう。

『図らずとも間近で見ることが出来るようになりましたよ。君はとぉっても幸運ですねぇ…ま、私にとっては七面倒臭いだけなんですけどぉ〜…』

そう言うとチョコミントくんはう…と言葉に詰まってなんとも言えない表情になる。

あーー別に君のせいで鬼が来たとかじゃないから！むしろ多分私が稀血だからですよ！！ほんと君に落ち度とかないんで！落ち込まないで！私のバカ！

ざんばらの長い髪をうねらす気持ちの悪い鬼は稀血ィ…稀血ィ…と唸りながら地を這うようにしてこんもりした木の影から出てきた。

ﾝﾋｨめっちゃ怖んい…なんかめっちゃ稀血稀血言っとるやんけバチくそ怖いわ馬鹿…恐怖が3割ずつ両手に来てるぅ……もぅﾏﾁﾞ無理。

しかしチョコミントくんの前なので見栄をはって刀を抜き余裕綽々と言った顔で構えた。

『っはぁ〜…死ぬほど面倒くさいですけどお魚のお礼です。私1人で倒してあげるので君はその辺で火の始末でもしといてください。まぁこの程度の雑魚鬼私なら君が火を消す前に終わりますけどぉ〜』