堕ちないあなたをオトします！！【うらたぬき】

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「えぇ？」


「そんなに嫌そうな顔しないでください。緊急事態なんです！！」



そう、あなたをオトせるかもしれないという緊急事態！


両手を合わせて頼み込むと、諦めたかのように浦田さんは肩をすくめる。



「...ん。」



傘をこっちに差し出して、「今回だけだから」なんて言ってきた。ツンデレ降臨。



「....あ、ありがとうございます。」



...自分で頼んどいてあれだけど、凄く意外。絶対入れてくれないと思ってたのに。


目を丸くしながらも、大人しく傘の中にお邪魔させてもらう。



「あの...浦田さん、肩...。」



いくら男性用の大きい傘といっても、二人で入れば少しはみ出してしまう。


その上、浦田さんはこっちに大きく傘を寄せているから、彼の肩はビショビショ状態。



「...別に気にしなくていいから。」



優しい、けど...

もしかしてこの優しさは、ゲームに勝つためなのかな？そう思ったら、胸の奥らへんが変にザワザワした。


...どうした、私。


気になったら、相手に直接聞く。それが私だよ？それなら、さっきの事も浦田さんに聞けばいいじゃないか。


思いきって、口を開く。



「えっと...浦田さんは...あの、何で私に親切したんですか？」



浦田さんは少しだけ間を開けて、こう答えた。



「....生徒会長だから。」


「生徒会長？」



思っていたこととは違う答えで、少し驚く。



「生徒会長が生徒を助けるのは、当然の事でしょ。」



淡々とどこか機械的に答えた浦田さんに、どこか引っ掛かりを覚えつつも、頭の中に浮かんだもうひとつの疑問をぶつけてみた。



「...じゃあ、浦田さんが私を知らなかったあの時でも、浦田さんは私を傘に入れてくれましたか？」


「...え？」



彼の驚いた顔を見るのは、初めてかもしれない。

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