三角形。【Ryosuke × Kei】

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すぐに伊野尾くんから携帯をとった。







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別に、とられたわけじゃない。








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落としそうになった携帯を拾ってくれただけなのに。







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『………じゃあね、』








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この空気に耐えられなくなり、逃げるように帰る。







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だけど、







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慧『………………待って、』







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タイミングよく掴まれた手。







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『っ………』







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慧『どこいくの？』







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『どこって、………』







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すると、手首を掴む力が弱まって。







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”掴んでいる”というより”支えている”の方が、

表現としては合っているかもしれない。






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それくらい、温かくて優しかった伊野尾くんの手。







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背を向けたまま、その手を振りほどいた私。







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そのときの伊野尾くんは、どんな顔をしていただろう。







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振り返る勇気もなく、足早に１階の保健室へ向かった。







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